社会保障制度改革国民会議の報告書について
2013.08.06update
政府の社会保障制度改革国民会議は本日、医療や介護、年金、少子化の4分野の改革を盛り込んだ報告書を安倍首相に提出した。
報告書では、社会保障制度改革の全体像の中で、高齢者世代を給付対象とする「年齢別」から、負担能力に応じて負担する「全世代型」であり、給付・負担の両面で世代間・世代内の公平が確保された社会保障制度へ改革することの必要性を打ち出している。政府は、まず、「この世代間・世代内格差是正の観点から社会保障制度の抜本的改革が不可欠である」ことを国民に示し、理解を求めることが必要である。
また、給付抑制については、一律1割となっている介護保険の自己負担の見直しや、1割に据え置いてきた70~74歳の医療費窓口負担割合の2割への引き上げなど、ただちに実施可能なメニューが挙げられている。政府は、今回の報告を受けて、秋の臨時国会において、改革の手順や工程表を示す法案の提出を予定しており、着手可能なこれらの改革メニューが早急に実行に移されることを期待したい。
一方で、高齢化の進展により社会保障給付費が毎年1兆円のペースで増大することを鑑みれば、さらなる社会保障給付の効率化が必要不可欠である。この点、中長期的な課題とされた年金制度改革や実施時期が不明なメニューについても先送りできる状況にないことは明らかである。
これからの社会保障制度を考えるうえで最も重要なことは「水準よりも持続性の確保」である。年金分野についても本格的な改革に着手しなければ、制度そのものの存続が危うくなるということを肝に銘じ、政府には聖域なき社会保障制度改革に向けての一層の取組を推進いただきたい。
以上
一般社団法人 関西経済同友会
代表幹事 加藤 貞男