代表幹事コメント

政府の新成長戦略について

2010.06.18update

社団法人 関西経済同友会
代表幹事 大竹 伸一

本日、我が国の経済再生が焦眉の急とされる中、政府の新成長戦略が閣議決定された。本戦略においては、これまでのように内需主導型の政策に偏重するのではなく、輸出拡大など外需を含めた現実的な成長戦略に転換されたことは評価できる。今後、戦略展開においては、工程表における具体策をもって、真に実現されることを期待する。特に、企業の国際競争力向上につながる法人実効税率の引き下げや運用ノウハウ等とのセットによるインフラの海外展開等の戦略に加え、将来の経済成長の要となる科学技術分野や研究開発・先端分野に関するイノベーション戦略が盛り込まれている点などについては歓迎したい。また、関西国際空港については、国際拠点化を見据えた「再生と国際競争力の向上」と明記されたことは評価できる。更に、有利子負債の解消など抜本的な経営改善に取り組んでいただきたい。しかしながら、法人実効税率の引き下げについては、数値目標が明記されず残念である。加えて、税率の引き下げは、段階的ではなく火急に実施すべきであり、国際ビジネスの展開や規制緩和等の関連する政策との整合性を図るべきである。我が国が持続的な成長を成し遂げるには、これまでの画一的な政策展開ではなく、地域の特性を活かした産業振興が必要である。特区制度等の活用により、地域の創造力を発揮することはもとより、地域主権戦略大綱を早期に制定し、地域主権の実現を推進すべきである。健全な財政なくして経済の成長はない。本戦略で示した政策については、その実現性を担保する上でも、財源確保を前提とした地に足のついた計画とすべきである。政府には、日本の新しい成長の方向性を見据え、国民の将来の不安を払拭すべく、財政運営戦略との一体的な政策運営を行っていただきたい。

以上