国土交通省の成長戦略について
2010.05.17update
本日、国土交通省の成長戦略の最終報告が発表された。これまでの鳩山政権の政策運営において、全体ビジョンの欠如が問題視されている中、国土交通省所管分野について、中長期的な視点に立った成長戦略が策定されたことは評価したい。観光、航空など重要な5分野について、今後の政策運営のための指針として、戦略目標設定を行っているものであり、6月までに策定予定のわが国全体の新成長戦略にも、反映されることが想定される。しかしながら、今回の成長戦略が絵に描いた餅とならないためには、政策の具体化に際し、如何に実効性を確保していくか、正に政治のリーダーシップが問われている。なお、経済活動の前提となる国内の高速道路を始めとした交通・物流インフラの整備のあり方は同省所管分野における最重要課題のひとつと思われるが、今回の成長戦略の中では取り上げられておらず、交通体系の整備についても長期的な戦略を策定することにより、ぶれない交通政策の実施が望まれる。個別には、関西国際空港について、「バランスシート改善による関空の積極的強化」として、航空分野の戦略の中に明記された。関空の強化を国家の成長戦略として明確に位置づけた点や、バランスシートの改善・国際競争力の強化を目指す方針を掲げた点などは評価できる。ただし、現在検討中のバランスシート改善手法は、民間資金に過度に依存するものであり、実現可能性には疑問が残る。かねてから我々が主張している「関空上下分離案」も参考として、国が積極的に関与を行う実現性の高い案を策定、実行していただきたい。
以上
社団法人 関西経済同友会
代表幹事 山中 諄