『経済財政運営と改革の基本方針2018』の閣議決定について
○ 本日、『経済財政運営と改革の基本方針』(骨太の方針)が閣議決定された。
○財政健全化に向け、2019年秋の消費税増税を明記したことを評価する。一方で、歳出の3分の1を占める社会保障費の抑制については、具体的な目標や施策は盛り込まれず、「痛みを伴う改革」が再び先送りされた。2025年の基礎的財政収支(PB)黒字化の目標は盛り込まれたものの、財政健全化に取り組む意志は感じられない。政府には、次世代にツケを回す政策が限界にきていることを自覚し、政治の思惑とは切り離した議論を強く求める。
○経済成長に関しては、日本の基礎科学力・基盤技術から社会への実装までの強化、教育の質の向上などが重点課題として位置づけられたことを評価する。また、成長力を強化する公的投資として、新大阪駅の結節機能強化が盛り込まれたことを歓迎する。
○一方で、外国人材の受け入れについては、小手先の施策によって社会にひずみが生じる可能性を懸念する。技能実習制度の制度不備による問題が多数発生している中、その改善がなされぬまま就労期間を延長する点や、外国人との共生政策がないまま日本語能力要件のみ引き下げる点など、拙速さが目立つ。人口減少時代における働き方と外国人受入に関して、国民的議論を行った上で、抜本的な対策を打つべきである。
○PB黒字化の前提となる年3%の経済成長を持続することは容易ではない。我々企業経営者は、その責任の中核を担っている自覚を持ち、イノベーション創出による成長実現に向け、率先して行動していく。政府には、国家戦略特区を活用した新産業育成に引き続き尽力していただくと同時に、サンドボックス制度等の規制・制度改革の推進を期待する。
以上
代表幹事 黒 田 章 裕