『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画』の閣議決定について
2022.06.07update
- 本日、『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画』が閣議決定された。自由放任主義、福祉国家、新自由主義に続く、新たな資本主義の姿を描き、その実現に向けた実行計画を示すという、政府の意欲的な取り組みを評価したい。正解は簡単には見つからない。「Action trumps everything. (行動は全てに勝る)」の精神で取り組むことが重要だ。
- 新自由主義とグローバル化経済は世界の経済成長を大きく牽引してきた一方で、同時に経済格差の拡大、分断の広がり、気候変動問題の深刻化など負の側面も多く生み出した。加えて、権威主義的国家による自由と民主主義への挑戦などもあり、我が国は政策の転換を迫られている。また、企業は株主のために利潤の最大化だけを追求すればよいという考えに基づく、行き過ぎた株主資本主義を是正すべきとの問題意識は、経済界でも広く共有されている。
- 「新しい資本主義」の構想・実現を政府任せにしてはならない。経済界もまた、考え、行動すべき主体である。我が国が「ともすれば安価な労働力供給に依存してコストカットで生産性を高めてきた」との指摘については、我々経営者も真摯に受け止めなければならない。コストではなく資産としての人的投資、設備投資、イノベーションへの投資により、持続的な成長を生み出すことは企業が担う重要な責務だ。
- 「金銭的リスク・リターンに加え社会面・環境面のインパクトを考えるマルチステークホルダー型企業社会を推進する」との方針を支持する。我が国、とりわけ関西には「三方よし」の経営精神がある。「課題解決を通じた、新市場の創出と一人ひとりの持続的な幸福の実現」といった「新しい資本主義」の基本思想は、2025大阪・関西万博の目的・テーマとも一致する。我々、関西経済人は、新時代の資本主義における経営のあり方を自ら探求し、変革に取り組む。
以上
一般社団法人 関西経済同友会
代 表 幹 事 生駒 京子