提言・アピール等

TPP は我々に何を問いかけるのか
~自由貿易立国・日本の経営者への提起~

2014.04.10update

2014 年(平成 26 年)4月
一般社団法人 関西経済同友会

TPP 委員会

日本にとって、自由貿易体制の維持は持続的成長のための必要条件である。貿易依存度が低下しているとはいえ、もとより日本は貿易立国を国是としてきた。エネルギーをはじめとする資源を輸入に依存し、閉鎖経済体制をとることが不可能である以上、日本が自由貿易と比較優位の原則に従って行動することは当然である。

また商道徳としても、自分は他所へ出て行って売りたいけれども、自分のところでは売ってもらっては困る、などということはあり得ないし、認められるものでもない。

国内の一部には、TPPへの参加は関税自主権の放棄である、とする議論がある。しかし、関税は20世紀型の貿易政策手段、言い換えれば、特定の国内産業保護政策であり、近年はむしろ、時間はかかっても関税そのものは撤廃しようというのが、世界の大勢である。その中で、日本だけが関税撤廃もしなければ撤廃までの期限を定めることにも反対、と頑なな態度をとり続けるわけにはいかない。

日本は、これからもアジアの中で生きていかざるを得ず、TPPをはじめとするアジアでの広域FTAの外側に立つという選択肢はあり得ない。そうであれば、決められたルールに後から従うよりは、ルールを作る側になることで、有利な位置を占めることを目指すべきである。