提言・アピール等

ODAのトリニティー
=戦略・ニーズ・サポートの三位一体=

2001.11.01update

2001年11月
社団法人 関西経済同友会

国際問題委員会

 日本の政府開発援助額(ODA 総額)は、世界のトップでありその状態は 10 年続いている(図表1)。その援助内訳を見てみると、被援助国はアジアが約6割 を占め(図表2)、とりわけ他国に比べ円借款の比率が高く(図表3)、援助内容は経 済・社会のインフラ整備が中心である(図表4)。これらの援助については、主体 的戦略がない、被援助国のニーズを反映していない、利権がらみの商業主義に 陥っている、援助国としての日本の顔が見えないなど、批判の声も一部には聞 かれる。
このような現状の下、平成 14 年度一般会計予算においては、ODA が 10%削 減され1兆円を切ることが、ほぼ決定的になった。現下の厳しい財政状況を鑑 みれば、国家予算は厳格に編成すべきであり、ODA についても見直しの対象と し、無駄を徹底的に省くべきであることは、論を俟たない。
しかしながら、グローバルな経済発展が進む中、いまだ開発の恩恵に浴さな い貧しい人々が多数存在し、経済発展の歪みとして環境問題などが地球規模の 課題として取り上げられ、計画経済から市場経済への転換に取り組む国々が続 出するなど、ODA の重要性と日本の役割は増すばかりである。また、ODA は 軍事力を持たない日本が、独自の国際貢献を果たし、世界の平和と安定の実現 に寄与するための、極めて重要な行為であることも事実である。
金額を削減する一方で、援助の質を高めることにより、目的を従来以上に達 成することは十分可能であると考える。財政の厳しい今こそ、国益という観点 から日本にとっての ODA の意義を再認識し、被援助国の真のニーズに基づいた 効率的援助が実施され、また ODA に対する幅広い国民の支持が得られるよう、 下記のごとく提言を行うものである。

*トリニティー:Trinity(三位一体)・・・三つの要素が結びついて、本質においては一つであること。 戦略、ニーズ、サポートの三つの要素が揃ったODA であるべきとの考えを反映。