世界に響き、感動を与えられる関西版ベンチャーエコシステムに向けて
~万博のチャンスを活かせ~
関西経済同友会 関西版ベンチャーエコシステム委員会(委員長=深野弘行 伊藤忠商事 専務理事 社長特命(関西担当))は、提言「世界に響き、感動を与えられる関西版ベンチャーエコシステムに向けて~万博のチャンスを活かせ~」を取り纏めました。同委員会としてはこれまで3年間、米国や欧州(英・仏・独・蘭)、イスラエル等を訪問し最先端の動向に関する知見や連携を深めて参りました。提言としては2017年4月、2018年4月に次ぐ3回目となります。(提言要旨は以下の通り)
1.問題意識
関西のベンチャーエコシステムは活性化されつつある。ベンチャー企業(第2創業を含む)は2府5県で約1,000社。ベンチャー育成体制の整備も進展しているほか、ベンチャー企業のネットワーク組織も活動し始めた。当会では「関西ベンチャーフレンドリー宣言」も発表した(2018年8月)。しかし、世界の名だたるエコシステムと比較すると、関西の知名度は高くなく、国際的評価も確立されていない。大阪・関西万博やIR、その他大型開発プロジェクトなどの好機を生かして、何を備え、どのようなアクションを取るべきか、提言する。
2.提言
(1)起業家が活動するにあたっての利便性を備え、新しい発見や興奮を与えてくれる魅力ある地域に
世界で評価されるエコシステムは、起業家にとって利便性が高く、エキサイティングな場であることが必要。
⇒①ベンチマークによる国際的な比較・評価、②海外からのベンチャー企業や投資家の積極的な誘致、③ベンチャー企業がビジネスチャンスを感ずる場の創出が不可欠である。
(2)特定の技術、文化、ビジネスなどの側面で、国内外の他の地域にない突き抜けた特徴を備える地域に
関西には独自性のある技術・研究、文化などがあるが、エコシステムの国際的評価につながっていない。
⇒世界に向けてもっと「見せる」べく、④大学や研究機関の研究成果の積極的な対外発信、⑤関西が優位性を持つ分野における国際的なイベントの拡充が有効。「大阪産業局」の役割も期待される。
(3)ベンチャーエコシステムが外に向かって開かれ、ベンチャー企業や支援者などエコシステム構成員の顔が見え、アクセスしやすい地域に
「顔が見えるエコシステム」特に、社会に開かれた大学や研究機関は研究開発型ベンチャーにとって重要。
⇒⑥SNSを活用した情報発信の拡充、⑦大学や研究機関の研究成果の社会実装のための橋渡し機能の強化、⑧大学の資産有効活用と産学連携の強化を行うべきである。
3.おわりに
万博において、社会課題の解決のためのベンチャー企業を含む多様な主体の参加によるオープンイノベーションの場を形成し、レガシーとして残すことが必要。遅滞なく政府の有識者会議などに働きかけていくことが必要である。
以上
一般社団法人関西経済同友会
関西版ベンチャーエコシステム委員会