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提言・アピール等

2012年、本格的労働力減少時代に備えよ
~人間尊重の原点を実践できない企業は勝ち残れない~

2007.05.01update

2007年5月
社団法人 関西経済同友会

2007年問題委員会

時代を問わず、人材は企業活動の原動力であり、人間尊重は経営哲学の鉄則である。しかしながら、時代環境によって、経営の姿は移り変わる。現在、景気回復の結果、就職氷河期とは様変わりして新卒採用を中心に人材獲得競争が過熱している。これは、景気回復による一時的な現象なのであろうか。それとも人口減少社会の予兆なのであろうか。

団塊世代の大量退職により、様々な問題が想定されるいわゆる「2007年問題」が、今年、本番を迎えた。これまでは一般的に、団塊世代が退職する約3年間を念頭に置いて、労働力の急激な減少と技能・スキルの断絶、消失が懸念されてきた。そこで実際に2007年を迎えた今、本委員会としてはこの問題をどの角度から捉えるべきか議論し、「労働力の動向」に焦点をあてることとした。労働力の動向は2つの要素に分けて検討を行った。

第一は、企業ヒヤリング調査を通じ、「2007年問題」の影響を検討した。第二は、2007年以降、再雇用等で就労延長した団塊世代が、本当に引退していく5年後の2012年を見据えて、本格的労働力減少時代への備えを検討した。

その結果、我々が達した結論は、2007年は、本格的な労働力減少のスタートの年であり、今後の労働力全体の減少を見越して、より一層の対策強化を始める年と位置づけるべきというものである。本格的な労働力減少時代へ突入すると思われる2012年をひとつの目処として、労働力減少に歯止めをかける施策が非常に重要である。

よって、本委員会は、2007年以降の中長期的な労働力の動向に焦点を絞って、2012年の本格的労働力減少時代に備える手段を提言としていきたい。

厚生労働省の見通しによれば、労働力人口は、2004年に6642万人であるが、女性、若年者、高齢者の労働市場への参加が進まない場合、2015年には6237万人になるとされ、日本社会全体で約410万人が減少する。同様に、2030年には、5597万人、同約1050万人の減少となる。