提言・アピール等

21世紀 日本の安全保障戦略の確立を目指して
~日本の転機~

2002.04.01update

2002年4月
社団法人 関西経済同友会

安全保障委員会

今日の時代潮流であるグローバリゼーションは、経済だけでなく我々の生活様式や価値観にいたるまで影響を及ぼし、様々な変革をもたらしている。実現すべきは多様な伝統・価値の並存する世界であるが、昨今、変革に伴う不安や摩擦から、我々はグローバリゼーションの歪が生み出す新しいリスク(地域紛争、国際犯罪、テロ、難民等)に直面している。

昨年9月に発生した米国同時多発テロ以降、安全保障の概念が大きく変化している。国を他国の軍事的脅威から守るだけにとどまらず、周辺地域や国際社会全体の平和と安定のために、テロや国際犯罪などいつ何時起こるかもしれない新たな危機を、国際協調の中で予防し解決する取り組みが重要となってきている。

日本が国際社会と協調していくという意思をもってテロ特別措置法を制定し、自衛隊の初の海外派遣を行ったことは、米国をはじめ世界から高い評価を受けている。今後もこうした具体的な協力・支援活動の積み重ねが重要である。一方、東アジアの情勢をみると、丁々発止のやり取りが続く中台関係、先行き不透明感が増す朝鮮半島情勢、それに加えて、大国へと急速な経済発展を続ける中国の台頭など、依然として不安定要因が多く存在している。日本は地域におけるリーダーシップを発揮しつつ、日本の主体的な意思をもった安全保障政策・外交政策を展開し、周辺諸国からの期待に応えなければならない。

日本は今、国の安全保障の新しい仕組みを構築する重要性を認識し、安全保障政策を大きく転換しようとしている。まさに 保障政策を大きく転換しようとしている。まさに「転機」である。 保障政策を大きく転換しようとしている。まさに「転機」である。日本が自国の安全保障と地域及び世界の安定と繁栄のために何を為すべきか、国益を守り、国際社会への貢献をいかに果たすべきかを真剣に議論し、決断すべきである。

関西経済同友会安全保障委員会は20数年間一貫して「タブーを排した安全保障論議の重要性」を世に訴え続けてきた。今、日本には、議論することからさらに一歩踏み込み、明確な意思表明と、勇気ある決断・実行が求められている。アジア・太平洋地域の平和と安定のために、あるべき姿から見た日本の目指す方向を、政治の強いリーダーシップと国民の意思によって明確にしていく責務が日本にある。