提言・アピール等

電力の安定供給確保に関する緊急要望

2011.09.22update

2011年9月22日
公益社団法人 関西経済連合会
大阪商工会議所
京都商工会議所
神戸商工会議所
社団法人 関西経済同友会
社団法人 京都経済同友会
社団法人 神戸経済同友会

われわれ経済界は現在、歴史的な超円高をはじめとする六重苦(歴史的な超円高、国際的に高い法人税負担、製造業派遣の原則禁止などの労働規制、TPPなど経済連携協定への対応の遅れ、温室効果ガスの25%削減目標、電力供給不足)を抱え、もはや日本国内で事業と雇用を維持できるかどうかの瀬戸際に立たされている。
新内閣は、今後の第三次補正予算案の検討にあたり、特に震災からの復旧・復興や超円高の是正に対する措置を十分に講じるべきである。
一方、今夏の電力問題は、企業のみならず国民生活にも多大な影響を及ぼすこととなった。企業においては、生産量の減少や人件費の増加など、身を削るほどの厳しい対応を余儀なくされ、生産活動の大きな足かせとなった。
また、今冬に向けては、さらなる電力需給の逼迫が懸念されており、企業はいまだ生産活動の見通しを立てられない状況にある。
このまま電力問題が続くとなれば、企業は生産拠点の海外シフトを強いられ、国内産業の空洞化や雇用の減少に拍車がかかり、わが国のものづくり産業が瀕死の状態になることは避けられない。
そこで、新内閣に対し、下記の通り早急な対応を求める。

  1. 安全確保を前提とした原子力発電所の早期再稼働の実現
    円高・空洞化対策として、国内立地促進策などの実施は大変重要であるが、電力の安定供給が確保されない限り、企業の国内投資の促進は期待できない。
    政府はこの危機的状況を深刻に受け止め、電力の安定供給確保へ向けた責任ある対応を早期に講じるよう強く求めたい。
    具体的には、定期検査を終えた原子力発電所について、政府自身が責任を持って地元自治体の理解・合意を得て、一刻も早く再稼働を実現すべきである。
    野田総理が、所信表明演説で、安全性の確認や地元自治体との信頼関係の構築を前提に、原子力発電所の再稼働を進める方針を示したことについては、これまでのわれわれ経済界の要請が前向きに受け止められたものと評価したい。
    是非とも、新内閣には、総理のリーダーシップのもと、電力の安定供給確保へ向けた実行力を示していただきたい。
  2. 省エネ・低炭素機器導入促進などの早期実施
    電力の安定供給は、企業の生産活動における基盤である。企業とりわけ中小企業が、再び生産活動の犠牲を伴う節電対応を強いられることのないよう、省エネ・低炭素機器等の導入への思い切った支援措置を拡充・創設すべきである。
    具体的には、環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)にかかる控除率の引き上げや、省エネ技術の研究開発費にかかる控除率・控除限度額の引き上げなどの減税措置、導入に際しての助成金を拡充されたい。
    また、再生可能エネルギーの推進に資するよう、太陽光発電の設置費用にかかる助成や固定資産税の減免措置などの拡充・延長を図られたい。
    さらに、電力の需給バランス安定化の鍵を握るのは蓄電技術であり、蓄電技術の向上のための研究開発費にかかる控除率や控除限度額の引き上げなどの減税措置を拡充すべきである。

以上