進取で頑固に
~私たちの産業に流れる豊かな精神文化を今こそ再認識し二極融合の発揮でグローバル価値を創造しよう~
昨今、我が国は「失われた20年」と呼ばれる長期の景気低迷期を経て、世界における存在感、競争力を大きく低下させた。特に、強みとされてきたものづくりの分野においても、新興国の低賃金労働力を背景とした攻勢に、かつてない苦戦を強いられている面がある。
かつて世界を席巻した“強い日本”を復活させる鍵は、日本企業が他国に真似できない日本独自の優位性、競争力をいかに築き上げ、差別化を図っていくかであり、そのためには、日本固有の強みを再認識し磨きをかけることにより、オリジナリティのある高付加価値の製品・サービスづくりを志向していくしかない。
関西経済同友会では、昨年度、同様の問題意識のもと「現場力」や「ものづくり(デザイン力)」に焦点をあてた提言を行ったが、これらに加えて、日本が世界に誇るべき他国が真似のできない固有の伝統の技術力(匠の技)と、それを生んだ日本の豊かな精神文化に着目することで、これから我が国が進むべき道筋について新たなヒントを見出すことができるのではないだろうか。
日本人は古来、豊かな自然を畏れ敬いながら、自然と調和・共生してきた。四季折々の変化の中で、豊かな感性を磨き、素晴らしい日本固有の精神文化を築き上げ、それが「匠の技」を生み育て、日本の競争力の源泉となり、独自の“ものづくり”や“サービス”を生み出してきた。
日本企業が、今後の厳しい国際競争を勝ち抜き、“強い日本”の復活と持続的経済成長を実現していくためには、この世界に誇る「匠の技」を育んだ豊かな精神文化について改めて学び、自覚し、再認識することにより、これからの日本が目指すべき独自の“ものづくり”や“サービス”のあり方を模索すべきである。
世界から見た日本の魅力・強みとは何か。世界に誇るべき日本の「匠の技」とは何か。それはどのように育まれてきたか。その背景にある日本人特有の精神文化とはどのようなものか。日本人特有の精神文化が、競争力のある“ものづくり”や“サービス”にどのように活かされてきたか。本委員会では、このような問題意識に基づいて活動を行ってきた。
これから日本が目指すべき“ものづくり”や“サービス”を見出すため、現代に通じる競争力の源泉としての日本の豊かな精神文化の再認識と戦略化の重要性を提言する。
平成27年(2015年)5月
一般社団法人 関西経済同友会
日本の豊かな精神文化委員会