提言・アピール等

速やかに安定的な電力供給を望む

2011.07.11update

平成 23 年 7 月 11 日
社団法人 関西経済同友会
代表幹事 大竹 伸一
代表幹事 大林 剛郎

東日本大震災の発災に起因した原子力発電問題が顕在化して、すでに4ヶ月を迎えた。この間、様々な課題が噴出し続けているにもかかわらず、一向に解決の糸口が見えてこない。それどころか、政府の迷走によりますます混乱をきたしている現状を踏まえ、政府に対して、以下のとおり早急な対応を求める。

  1. 健全な経済成長に向けた、電力の安定供給の早期実現
    原子力発電所の定期検査後の再稼働に関して、経済産業大臣の安全宣言を否定した、首相の唐突なストレステスト実施指示など閣内不一致による政策の迷走が、国民の不安を増大させたことは甚だ遺憾である。
    本日、ストレステストに関する政府の統一見解が発表されたが、テストにかかる期間や実施方法、評価基準など具体内容が全く提示されない、場当たり的な対応と言わざるを得ない。
    このままでは、来春には、全体の3割の電力供給を担う、54基全ての原子力発電所が停止しかねず、国民生活の緊縮化はもとより、生産活動の縮退、生産拠点の海外移転による産業空洞化など危機的な状況に陥る。我々はこのままいけば日本が沈没してしまうことを恐れる。
    原子力発電所の再稼働は安全確保が第一であることは言うまでもないが、その上で一刻も早く電力の安定供給を実現しなくてはならない。政府は原子力政策に関する揺るぎのない方針を即座に示すとともに、できるだけ早期に国民や立地自治体の理解・合意を得て、原子力発電所の安全・安定運転を再開し、わが国のために電力の安定供給に努めるべきである。
    そのためには、欧州で実施されているように、原子力発電所を稼働させながら並行してストレステストを実施し、停止期間を短縮すべきである。
  2. 中長期のエネルギー政策の策定
    原子力に代わる新エネルギーの開発から安定的な実用化は、一朝一夕に実現できるものではなく、まず、現実を真摯に受け止めた中長期のエネルギー政策を明示すべきである。
    そのためには、地球温暖化防止の観点も踏まえ、多くを海外からの輸入に頼る化石燃料依存型から脱却した自然エネルギーへの転換について、当面の対応、中期的対応(過程)、長期的対応(将来)を明確にする議論を早急に実施すべきである。
    さらに、エネルギー安全保障の観点からも、エネルギー自給率が18%という現下の低い水準に危機感を持ち、再生可能エネルギーコストの低減やメタンハイドレート等新たな資源開発の促進など、自給率向上に努めるべきである。

以上