自立する関西州の設立を
-「地域主権」の確立に向けて地方分権改革を促進する中間提言-
「自立する関西州の設立を」
―「地域主権」の確立に向けて地方分権改革を促進する中間提言―
現代社会は、通信技術の発達により変化のスピードが増すと同時に、複雑化の度を深めつつある。そのため、中央集権による画一的な行政では、費用対効果が悪くなり、十分な公正さや市民意識の向上に寄与出来なくなっている。大幅な増税と財政破綻を回避し、公正さや市民意識を向上させ、国際競争力をとりもどすには、官による独占をやめ、民に開放する必要がある。
さらに、官が引き続き行っていくべき業務も、市民意識の向上および地域の実情にあった行政の実現のためには、国の役割を限定し、身近なことは基礎的自治体で、広域的なことは州で行うべきである。これによって様々な行政参画が可能になり、サービスの低コスト化、変化への迅速な対応が可能となる。
既存組織の改革は極めて抵抗が大きいため、各自治体を発展的解消ともいえる形で新たに政治・経済ブロックとして再編する。合併などを通じ規模の大きくなった基礎自治体に政令指定都市並みの権限を移すことによって、府県の機能は極めて限定されたものになり存在意義が薄れる。そこで、府県を発展させて道州を創れば、国からの権限移譲・府県の整理の両方ができ、新しい組織による新たな組織原理で、広域地方自治を再構築できる。
権限移譲にあたり、地方自治の人材の質の転換が必要である。人材活用の面から見ても、府県を発展させて州にし、国・民間・府県からの人材を結集して、今まで眠っていた人材の活用機会をも創出し、新たな地方自治・地域主権をはじめるべきであろう。
関西経済同友会では、90年代の初めから地域主権を提唱し、すでに10年以上の歳月が過ぎさった。この間、地方分権一括法の施行など、中央集権から地方分権への改革は一定の成果をあげてきたが、改革は緒に就いたに過ぎない。むしろ、進んだ情報化社会、インターネットの発達は、地域間の競争を国内のみならず国際間に広げており、地域の個性化が不可避の状態を生んでいる。社会の要請する地域主権は、三位一体改革のみによって実現できるものではない。わが関西経済同友会は、中央集権から地域主権へ転換するため、以下に述べる道州制の実現を通じた地方分権の促進を強く求めるものである。
2005年11月
社団法人 関西経済同友会
地域主権推進委員会