経済連携協定(EPA)の利用拡大と中小企業の支援強化に関する要望
2010.03.01update
わが国が締結したEPAは2009年までに11協定となったが、相手国・地域の経済規模や協定締結までのスピードにおいて、わが国は中国や韓国に後れをとっていると言わざるを得ない。
わが国初の本格的なEPAであるメキシコ協定の発効から今日までの5年間に、相手国での関税減免に必要な特定原産地証明書は、その利用が約10倍に増大した。大企業を中心に定着化しつつあるEPAの効果をより鮮明にするため、交渉中のEPAの早期妥結はもとより、アジア太平洋などの広域経済連携や米国、EUなど先進国との経済連携の枠組み構築が期待される。
一方、国内に目を転じると、EPAを利用する企業が限定的であるとの課題は、依然として未解決のままである。EPAの数の増加にもかかわらず、輸出でのEPA利用は一部の大手企業に集中しており、中小企業にEPAが未だ殆ど浸透していないことが主たる原因である。
2008年後半以降の世界同時不況からの脱却が遅れるわが国が、安定した成長路線への転換を図るためには輸出振興が引続き重要であり、その牽引役としてEPAへの期待は大きい。このためには、業種や規模を問わず、輸出関連産業にはEPAの活用を強力に働きかけることが肝要である。特に、中小企業に対するEPAの認知度向上、利用促進策を、スピード感を持って積極的に展開することが切望される。
以上の認識を踏まえて、関西経済界は多国間経済連携の実現、EPAの利用拡大とその中核となる中小企業への支援強化のための施策を、以下の通り要望する。
2010年3月
社団法人関西経済連合会
大阪商工会議所
京都商工会議所
神戸商工会議所
社団法人関西経済同友会