提言・アピール等

第67回西日本経済同友会大会 共同見解

2009.10.29update

2009年10月29日
西日本経済同友会

  • 現状認識
    先の衆議院議員選挙での民主党の圧勝は、有権者の多くがわが国の現状に閉塞感を覚え、変化を 求めた結果と考える。昨年の米国金融危機に端を発した世界同時不況は、外需に大きく依存してき た日本経済にかつてない大きな打撃を与え、産業構造の変革を迫っている。急速な少子高齢化、人 口減少、年金・医療の財源問題、国・地方が抱える巨額債務、東京一極集中による地域間格差の拡 大など、山積する社会問題は我々の生き方、社会構造に変革を求めている。
    官主導の中央集権体制を基礎とした様々な仕組みは制度疲労をおこしており、社会構造はいたる ところで崩壊の危機に瀕している。この危機をいかに乗り越えるのか。我々にはそのための覚悟と 知恵が求められている。
  • 地方が変わることで 国を変えていく
    地方の中には、近年、国の政策に制約を受け、自らの活力を喪失してきた地域も多い。しかし、 各々の地域には、豊かな自然、これまで築き上げてきた歴史、文化、技術、ノウハウ、そして人材 など、活力の源となり得る資源が数多く眠っている。環境、農業、観光など国家の成長分野と目さ れる産業の主要基盤は、まさに地域にこそ存する。
    経済、社会のグローバル化に伴い、国際競争は国家間から都市間、地域間へと変化している現状 において、地域の活力なくして日本の繁栄はない。地域の財産、すなわち「地財」をどう見出し、 磨き、魅力ある活力源に仕上げていくか、地域の変革力、創造力が問われている。
    地財を生かした新しい活力を創造する「地域の再構築」を目指して、地域が自ら変わっていかね ばならない。まず自分達の地域が変わり、活力を取り戻すことをきっかけに、国のあり方を変え、 ひいては、わが国を覆う閉塞感の払拭や産業構造の変革促進などに繋げる時である。
  • 中央集権体制、東京一極集中から地域主権体制へ
    中央(官僚)集権体制と東京一極集中により地方は疲弊している。鳩山政権には、機能不全に陥 りつつある日本列島の再生へ向けた大胆な改革の断行が期待される。
    とりわけ、地域主権の実現へ向けては、基礎自治体の強化、道州制の導入など地域の再構築が求 められている。その第一歩は国と地方の協議機関の設置であり、鳩山政権には、国との役割分担を 一から見直し、地方への権限・財源の大幅移譲を果敢に進めていただきたい。
    一方、地方は、これまでの中央依存体質を改め、地域経営を担う責任感と覚悟を持って、主体的 に自らの改革を推進していかねばならない。我々企業人も、自立した地方自治の確立に向けた、地 方行財政改革や地方議会改革などを積極的に支援していく。
  • むすび
    江戸時代末期、長州の吉田松陰は「草莽崛起(そうもうくっき)」を唱え、既成の枠組みにとらわ れず「在野の志士」が立ち上がることの必要性を説いた。今こそ、我々企業人が健全で信頼のある 企業活動を通じて地域の活性化を実現していく時である。
    「草莽の志」を持って、維新の胎動の如く、西から東へ。

以上