社会が求める大学の人材輩出戦略
~まずは学部教授会の改革から~
2009.07.01update
我が国の労働市場は、平成 19 年の売り手市場から一転、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した世界金融・経済危機によって、買い手市場に転換した。しかし、景気の良い時も、悪い時も、企業が優れた人材を求めていることに変わりはない。
一方で、企業の採用担当者の間には、「やる気が感じられない」、「目的意識が低い」など、大卒就職希望者に対する懸念がますます高まっている。日本経済の持続的な繁栄に欠かせない企業の発展を支えるのは人であり、その供給源である大学が、社会に有為な人材を輩出できなければ、我が国は国際的競争力を失うことになる。将来に大きな禍根を残さないよう、大学は危機感をもって改革を推進しなければならない。
そこで本委員会では、何故大学が社会・企業のニーズに応えた人材を輩出できないのか、その答えを探るべく活動を開始した。具体的には、企業が大卒就職希望者に求める要件を明らかにし、国の高等教育政策を検証した上で、大学と産業界との意識の差を確認し、問題の解決に必要な条件を洗い出した。我々は、大学が新しい時代に必要な教育を提供できる機関となることを願っている。そのためには、大学が主体性をもって改革を推進すると共に、大学における取り組みを官民挙げて支援することが重要と考え、提言を行う。
平成21年7月
社団法人 関西経済同友会
大学改革委員会