次世代につなぐ社会づくりとこれからの資本主義
~デジタル化の進展に危機感を持った対応を~
2019.03.05update
関西経済同友会 資本主義の未来委員会(委員長=伊藤雄二郎 三井住友銀行 副会長)は、提言「次世代につなぐ社会づくりとこれからの資本主義~デジタル化の進展に危機感を持った対応を~」を取り纏めました。
1.問題意識
世界経済は加速するグローバル化やデジタル化により激変しつつあり、これまでの資本主義の限界も指摘されている。本提言では、当会の今年度事業計画に挙げられた「重点課題」の一つでもある「次世代が誇りと希望を持てる国のあり方」への検討も念頭に置きながら、資本主義のあり方という観点から、わが国が目指すべき方向性や、政府や企業が取り組むべき施策等について提言する。
2.提言
【1】自由・民主主義・人権の尊重・法の支配といった基本的価値をベースとする資本主義を堅持し、世界に提示する
- 自国第一主義や保護主義への支持の高まり、さらには国家資本主義の影響力が拡大するなか、基本的価値を堅持する姿勢をわが国が率先して世界に示すべき。
【2】企業は変化の兆候を捉え、「日本的経営」の長所を生かしたダイナミックな経営を行う
- ステークホルダーが多様化する中、利益追求と社会課題解決を両立した新たな「三方よし」を実践すべき。
- オープンイノベーションの推進により、テクノロジーを積極的に活用し、ダイナミックな経営を展開すべき。
【3】政府はコーポレートガバナンス改革の深化や、デジタル技術の活用・イノベーション創出に資する政策を、早急に実施すべき
- 「日本的経営」の長所を生かすために、政府には、短期志向や株主利益重視を助長しかねない現行制度のあり方を見直し、真に実質を伴ったコーポレートガバナンス改革を求める。また、イノベーション創出に向けた企業の取り組みを後押しする環境整備やデジタル化に対応した教育制度の構築等を進めるべき。
【4】過度な格差の是正に向けた取り組みを進める
- 政府には、格差の実態や背景に目を向け、既存政策を再評価し、変化を捉えた適切な制度改正を求める。また、企業は格差を意識した経営を行い、自社ビジネスを通じて、社会課題の解決に取り組むべき。
資本主義はこれまでも、時代に合わせた修正を繰り返しながら発展してきた。激動の「平成」が終わりを告げる今、資本主義の未来に向けて、我々経済人は変化を恐れず、積極的に立ち向かう努力を怠ってはならない。本提言が新たな時代の幕開けに向けた一助となることを願う。
一般社団法人関西経済同友会
資本主義の未来委員会