提言・アピール等

日本らしい価値観で「ひとが幸福になる」デジタル社会を実現し勝機を掴め

2020.03.11update

一般社団法人関西経済同友会
デジタルソサエティ委員会

 関西経済同友会 デジタルソサエティ委員会(委員長=宮部 義幸 パナソニック(株) 専務執行役員)は、提言「日本らしい価値観で『ひとが幸福になる』デジタル社会を実現し勝機を掴め」を取り纏めました。

1.問題意識 
 政府がSociety5.0を打ち出しデジタルソサエティ実現を推進しているが、目指すべきデジタルソサエティの具体的なビジョンが国民の間で共有され、理解が進んでいるとは言いがたい。デジタルソサエティのあり方は、国の成り立ち、文化、国民性、地政学的な背景などによって千差万別であるが、各国のデジタルソサエティのあり方とその功罪を見極めつつ、日本らしいデジタルソサエティとはどういうものかを早急に検討・共有する必要がある。

2.提言
提言1:“和魂D才”で米国型でも中国型でもない、日本らしい第3のデジタル社会像を世界に示せ
 1)日本らしさ=「和魂」を活かし、文化背景の異なる国々が発想できない価値観に
   基づいたデジタル社会を構築せよ
   米国型や中国型に代表される世界のデジタル先進国はそれぞれに「歪み」や「負の側面」を
   抱えている。これらを解消する方策を模索し、利便性、効率化の追求だけでなく、
   「和魂D才」で日本らしい価値観を活かしたオリジナリティのある新たな
   デジタル社会像を世界に示せ
 2)デジタル社会に関するELSI(Ethical,Legal,and Social Issues)の議論・解決で
   世界に先行すべし
   世界で未整備なELSI(デジタルの社会で生じる倫理的、法的、社会的課題)への
   配慮、対応に成功すれば、日本らしいデジタル社会がより魅力的で共感を
   呼ぶものとなる
 3)「ガラパゴス化」の二の舞を避けよ
   日本が示す第3のデジタル社会の「ガラパゴス化」を避けるためには、
   過去の事例に学び、グローバルなオープンイノベーションによる
   グローバルな市場を狙う戦略が必須である。
提言2:「使う側」から「創造する側」へ 成長戦略としての「ひとの幸福」を追求せよ
 1)日本の勝機はデジタルによる社会課題解決・「ひとの幸福」の追求にあり
                     ~課題先進国であることをアドバンテージに~
  「『ひとの幸福』の実現」を追求し、ビジネス化することにより、
    ①自助・共助・公助による解決に加え、ビジネスによる“商助”の創出
    ②世界の“商助”を日本がリードすることにより日本の国富の蓄積    
  を図るべき。
 2)社会課題解決に資するデジタル技術を生み育てるエコシステムの構築を
   デジタル時代の課題解決はオープンイノベーション、ベンチャーエコシステムの形成に
   よって達成されるのが世界の潮流である。我が国もこのような、デジタル技術を発掘し
   生み育ててビジネス化するエコシステムの構築が急務である。
提言3:我々がすべきこと ~経営者・政府がとるべき行動~
 1)経営者・産業界が取り組むべきこと
   ① 経営者がデジタライゼーションの本質を理解し、率先して進める
   ② 新しい雇用・仕事のあり方を発信する
 2)政府・行政が取り組むべきこと
   ① 国富創出のための産業戦略の確立
   ② ELSI研究事業の持続的な推進体制の構築
   ③ デジタル・ガバメントの早急な実現


以上

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