提言・アピール等

新世紀の都心創造
~大阪都心再生へ~

2002.04.01update

2002年4月
社団法人 関西経済同友会

大阪活性化委員会

大阪の街に元気がないと感じている人は多いのではないでしょうか。企業の中枢機能や人材が東京へ流出するとともに、産業構造の転換の遅れや中国の世界工場化などに伴う製造業の競争力低下が、大阪の状況をより一層厳しいものとしています。このことは、メインストリートである御堂筋沿いに駐車場スペースが目立ち、沿道ビルの空室率が12%を超えていることからも窺えます。

こうした状況を招いたのは、自助努力が不足していたことも否定できませんが、一方では、我が国の国土政策が、戦後復興のあと、一貫して「国土の均衡ある発展」を基本としてきたがために、日本全国画一的な都市整備が行われ、地方の独自性、魅力が失せ、結果として、東京への一極集中を招いたことも事実であります。

これらの反省を踏まえ、関西や大阪の発展について、大学、研究機関、経済団体などいろいろな機関が各種の提言を重ねてきました。これらの提言内容は、東京や首都圏が政治・経済のセンターであるのに対して、関西・大阪は生活と文化を基軸に据えた生活首都・文化首都を目指し、その実現のためには大幅な地方分権を進めるべきだとの方向でほぼ一致しています。

私たちの委員会は、関西の経済団体として地方分権・地域主権の推進に努力しておりますが、短期的には国の力や予算の活用も必要であると考え、平成13年秋、政府の都市再生本部に「大阪都心の再生により関西圏、日本の活性化を」と題する緊急提言を行ない、国際競争力強化の重要な柱としての“梅田北ヤード地区の再開発”などを訴えました。こうした提言活動や地元自治体の働きかけなどが功を奏し、「大阪駅北地区開発」、「御堂筋沿道地区の活性化」、「道頓堀川の水辺整備」などが都市再生本部のプロジェクトに組み込まれました。

これからの日本では、様々な都市が活き活きと、個性豊かに競い合い、花を咲かせる姿こそ望ましいのです。東京以外にも国際競争力のある世界都市がなければ日本は元気になりません。

こうした認識のもとに、私たちは先の緊急提言に続いて、再び提言を行ないます。ここでは都心再生の実現方策に力をおいています。私たちが提言する官民パートナーシップ型の“まちづくり”、大阪の「都心特区」設定などは、関西及び日本全般によい影響をもたらすものと確信しています。