新たな「防衛計画の大綱」閣議決定について
2018.12.18update
- 防衛大綱は10年程度の中長期を視野に入れて作成されるものであるが、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化するなか、改定時期を早めて見直しに踏み切ったことを率直に支持する。
- 防衛予算については7年連続の増額として予算要求されている。政府として、国民を守るために真に必要な予算を確保することは当然であり、それは対GDP比率といった表面的な数字に囚われるべきものではない。ただし、国民負担を軽減するためにも、①装備調達価格の適正性の精査、②陸海空の統合運用の強化によるコスト削減の努力をより一層進めてもらいたい。
- また、日本独自の技術開発力を向上させると同時に装備品の国内生産を増加させることは、目先のコスト問題の解決だけでなく抑止力の強化にも繋がるため、強く推進されることを期待したい。
- 「サイバー」「宇宙」「電磁波」などの新たな領域における防衛について、優先的に能力獲得・強化を掲げることは必然である。世界中で関連技術が進化を見せる状況の下、本分野での技術向上を目指すことが急務であるため、予算の拡充だけでなく産官学が積極的に協力することを求める。
- 敵基地攻撃能力の保持の明記は見送られた一方、実際には、我が国は敵基地攻撃が可能な能力を保持しつつあると解する。安全保障環境が厳しさを増すなか、敵基地攻撃能力が抑止力として必要であり、その配備が急がれるとの議論があるのは当然である。しかしながら、政府による、現行の法制度との整合性についての説明は不明瞭であり、国民が広く理解し支持をしているとは言い難い。積年の課題である憲法改正と自衛隊に関する論議はもとより、敵基地攻撃能力保有の是非とそれに即した法制度のあり方について、政府は国民に広く議論を促すべきである。同時に国民にも、その結果を引き受けるのは国民一人一人であるという覚悟を、今一度求めたい。
以上
安全保障委員会
委員長 佐藤 潤