新しい時代の日本の防衛のあり方
~日本版国家安全保障会議(JNSC)の早期創設とサイバー防衛態勢の構築を求める~
2013.05.14update
国家および地域の安定の確保は、円滑な経済活動の基盤であり、経済人は安全保障問題により高い関心を持たなければならない。関西経済同友会では、先ず国民全体が「自分の国は自分で守る」という安全保障に対する意識を持つことが重要だと繰り返し唱えてきた。現在の情勢を踏まえ、以下6項目について提言する。
- 集団的自衛権の政府解釈を変更すべき
政府は近年の東アジアに見られる、尖閣諸島を巡る中国との緊張状態、北朝鮮の核・ミサイルという現実的な脅威が出現したことを踏まえ、集団的自衛権の行使を可能にする政府解釈の変更を速やかに行うべきである。 - 「自衛隊海外派遣恒久法」の成立を急ぐべき
複雑化する国際情勢の中で、実効性と機動性を兼ね備えた国際貢献を継続的に実施していくには、政府は、なぜ恒久法が必要なのかを国民にわかりやすく説明し、自衛隊の海外派遣のあるべき姿を議論した上で、国際平和協力活動を可能にする基準を定めた恒久法を制定すべきである。 - 武器輸出三原則等の弾力的運用を
政府は安全保障上欠かせない国内の防衛産業の維持・育成という視点と日米安全保障体制への寄与という視点を優先し、武器輸出三原則の一層の弾力化を検討してもらいたい。 - 海洋国家日本に相応しい態勢を整備すべき
中国の覇権主義的な動きに対しては、日米関係の強化による抑止力の拡大に加え、自国海域を守り、活用するという海洋国家日本に相応しい態勢を整備することを求める。日本政府には、領域警備の全体を包括した法体系を早期に整備していただきたい。 - 日本版の国家安全保障会議(JNSC)の早期創設を
国家の安全保障政策は、首相や政権がかわっても、継続性・一貫性をもって展開される必要があり、政府には情報収集体制の強化と充実、機密情報(インテリジェンス)の活用を含め、長期的な戦略を練りつつ、短期的な対応も両立させる国家安全保障会議(JNSC)の早期創設を求める。 - サイバー攻撃への対応強化を
サイバー空間での戦いは、自衛隊と他省庁さらには民間企業との連携が必須であり、法整備も含め、日本に相応しい態勢を早急に整備する必要がある。日本政府には、官公庁のネットワークや重要インフラにサイバー攻撃があった場合の責任体制の明確化、総合調整等、サイバー防護に関するコンセンサスを早期に確立することを求める。民間の役割を含めた国家サイバーセキュリティ戦略は国家安全保障会議(JNSC)の一翼に位置づけられるべきである。具体的な法整備や体制の確立は急務であり、防衛省、自衛隊への任務付与等を早急に求める。また、サイバー攻撃に対処できるような高度な人材の確保、育成に取り組むことを求める。
以上
2013 年(平成 25 年)5月
一般社団法人 関西経済同友会
安全保障委員会