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提言・アピール等

大阪版アーツカウンシル『タニマチ文化評議会』(仮称)の創設を
~住みたいまち、行きたいまち「文化都市・大阪」をめざして~

2012.02.22update

平成 24 年(2012 年)2月
社団法人 関西経済同友会

歴史 ・文化振興委員会

  1. 文化は市民のものである
    文化はわれわれ市民のためのものであり、生活の潤いや質を高めるものである。様々な考え方、価値観を持つ市民には多様な文化が必要である。即ち、文化にとって「自由」が最も重要なことであって、複数の異なる文化が共鳴し合って質の向上が図られ、より素晴らしい文化が形作られる。しかし、われわれ市民が文化を享受し、親しむためには、われわれ自身の文化への理解を深めると同時に、専門家や専門の組織によって正しく文化を目利きし、質を向上させるとともに、われわれと文化との接点を深めていくことが大事である。

  2. 経済と文化は都市の活性化にとって車の両輪である
    大阪は歴史・文化遺産の宝庫であり、ローマやパリに劣らぬ「世界に誇る文化的な都市」であるとの認識の下に、歴史・文化振興委員会では、この3年間、大阪が持つ「歴史・文化」を通じて「文化都市・大阪」の魅力を世界へ訴求していく方策の調査、研究に取り組んできた。
    歴史を顧みると、経済の発展と文化の繁栄は表裏一体となっている。現在大阪が陥っている困難な状況は、極端に言えば、文化の育成、支援よりも、経済効率、経済成長に目を奪われてきた結果ではないだろうか。経済の効率化という観点からは一見「カネにならない」とか「ムダ」に見える「文化」こそが、想像性やクリエイティビティの源泉だからである。科学技術だけでは商品は生まれない。文化・芸術の完成があってこそ「進歩」がある。
    大阪は、多様な文化をバックボーンとして大阪特有の感性を生み、他所には真似のできない技術や工夫を凝らした「モノづくり」を発展させてきた。ところが昨今、激化するグローバル競争の中でその優位性も希薄となり、厳しい都市間競争に襲われ、困難な状況を迎えている。
    特に昨今は、文化の継承や育成について官も民もその取り組みが弱くなっている。われわれが「文化都市・大阪」再生のキーファクターと考える「歴史・文化」は、一日にしてならず、継続してこそ力となり、都市を発展させるのである。

  3. 魅力あふれる「文化都市・大阪」の創造にはオール大阪の視点とスピードが重要である
    2009年に設置された歴史・文化振興委員会では先ず、今ある大阪の史跡、文化・芸術を再認識し、自らが語り部となるべく、活動初年度に冊子『大阪語カタログ』を制作した。
    2年目には、関西における“文化”の現状をデータ分析し、視察やヒアリングを通して、①「個人頼みの文化支援、文化振興の仕組みと担い手不足」、②「プロデュース力不足」、
    ③「不安定、不十分な文化振興資金」が大阪における3つの課題であると認識してきた。そして、3年目となる本年は委員会活動の締め括りとして、文化振興の先進国と言われる英国視察を実施して研究を深め、これら課題の解を求めた。
    英国(スコットランド、イングランド)での長年に渡る文化振興の取組み、仕組みについては、この視察を通して大いに啓発された。
    一方、大阪では、中長期的視点での文化振興が行われているとは言い難い状況であ。また、英国と比較評価を行う中で、個々に行われている文化活動をオール大阪の視点でまとめ、支援・育成、情報発信する「仕組み・組織」が存在しないことなどが、一層明確に炙り出された。
    われわれは民間だからこそ出来ることやその方法をもって、大阪に根付き育まれてきた「歴史・文化」、そして現代に生まれてきている「文化・芸術」を守り、振興し、広く発信する役割の一翼を担いたいと考え、委員会活動に取り組んできた。
    そこで、われわれは本提言において、オール大阪の観点で「歴史・文化」を支援・育成、発信する「仕組み」を、具体的に提示したい。
    今回提言する「組織」で出来る事、やるべき事は、従来から幾多の人々により指摘を受けて来た事柄である。
    われわれは、新しい「組織」の一刻も早い編成と、新しい「組織」による文化振興策の着実な実行を急ぎ、世界から尊敬され、関心を寄せられる「文化都市・大阪」を目指さなければならない。