“和魂和才”による文化経済大国への道
~新日本流で未来を拓く~
現在我々は、様々な重要課題が同時に押し寄せる先例なき時代に直面している。
戦後日本は、目覚しい高度経済成長を遂げ、“Japanas NO.1”とまで称賛されるなど、経済大国として世界に大きな存在感を示してきた。しかしながら、今日では、日本の国際的な地位低下が、政治、経済等あらゆる面で顕在化している。
また世界を見渡しても、欧州債務危機、米国経済低迷など、これまでのグローバル経済を牽引してきた先進国の力に陰りが見えており、欧米諸国の政策は行き詰まり、明るい兆しは見えず、政治的、経済的な不安定さが増している。
これまでの経済成長モデルは、大量生産・大量消費することで利益を得るモデルであり、日本も高いものづくり力をもって高品質・高機能な製品を創り出すことで世界を席巻したものの、低コストを武器とした新興国が技術力を高めたことにより、キャッチアップされはじめている。
今こそ、これ以上の日本の凋落に歯止めをかけ、日本が再び輝きを取り戻すための新たな道を探らなければならない。
我々は、従来の取り組みのみならず新たな視点で、日本の強みを活かした得意分野を創出し、課題克服へと挑戦していくことが求められている。
期せずして、2011年3月11日に発生した東日本大震災により、日本が有する様々な強みを再発見、再認識することとなった。
被災者の自身を顧みず救助を行う自己犠牲の精神や献身的な行動、冷静で節度ある態度、インフラの回復力、サプライチェーンの寸断で浮き彫りとなった高いものづくり力など、世界各国からも発信された称賛の数々は日本が世界に誇れる強みである。
我々は改めて、日本がこれまでの歴史の中で生み育ててきた独自の強みを見つめ直し、新たな経済成長モデルを創造することで、日本の持続的な発展はもとより、世界の成長をリードし、世界から信頼される国を目指さなければならない。今まさに、これからの日本のあり方を探す時であろう。
ここにグローバリズムの中の日本という価値を高め、再び輝きを取り戻すために「文化経済大国」という新たな日本流の経済成長モデルを提言する。
2012年4月
一般社団法人 関西経済同友会
調査企画部会