企業変革のビッグチャンス
~「腹落ち」する骨太な戦略ストーリーとイノベーション創出に向けた組織・働き方の改革~
関西経済同友会 企業経営委員会(委員長=谷口宗哉 三菱UFJ銀行 代表取締役副頭取執行役員(西日本駐在))は、提言「企業変革のビッグチャンス~『腹落ち』する骨太な戦略ストーリーとイノベーション創出に向けた組織・働き方の改革~」を取り纏めました。
1.問題意識
コロナ禍によって経営環境が一段と変化し不透明となるなか、企業は顧客や社会の変化に合わせて持続的に変革し、新たな価値を生み出し続ける必要がある。企業はイノベーション創出と生産性向上を目指すべきであり、企業経営の本質はコロナ禍の前後で不変である。経営者は危機感を持ち、コロナ禍を「企業変革のビッグチャンス」と捉えて、①事業再構築やビジネスモデル変革に取り組むとともに、②多様性の乏しい組織・働き方の見直しや目的を明確にしたDX(デジタル・トランスフォーメーション)等の経営改革に後戻りすることなく取り組むべきである。当委員会では、これら問題意識を踏まえ、提言を以下のとおり取り纏めた。
2.提言
提言1:「腹落ち」する骨太な戦略ストーリーとイノベーション創出への取り組みを 【経営者】
(1)経営トップのリーダーシップ発揮による企業の「社会的価値」向上
①企業の存在意義・ビジョン(夢)を通じた、従業員をはじめとするステークホルダーの共感と腹落ち
~「正確」な分析に基づく2~3年の将来予測(中計)よりも、「納得」できる長期のビジョン・骨太な戦略ストーリー
②経営トップによるESGへの主体的取り組み(非上場企業/中小企業を含む)
~SDGs/ESGは「綺麗事」ではなく、企業価値向上に向けた本流として経営トップが主体的に行動
(2)イノベーション創出に向けた組織・働き方の改革とレジリエンスの向上
①「知の探索」に向けた組織・働き方の改革とDX推進
~挑戦を促す評価制度、柔軟で多様な働き方の推進と個人レベルの「知の探索」の支援(副業・兼業の拡大、人材投資 等)
~DX(デジタル・トランスフォーメーション)で目指すべき価値創造の明確化、「知の深化」はAI等のデジタル技術を活用して「知の探索」に注力
②危機を乗り越えるレジリエント(強靭)な組織づくり
~後継者の早期選抜・育成(保守本流の領域以外でのマネジメント経験、子会社社長、修羅場経験 等)、従業員の意識変革を促す「ミドルマネージャー」の育成
提言2:自律的なキャリア形成と個人レベルの「知の探索」への挑戦を 【個人(従業員)】
(1)自律的なキャリア形成とライフスタイルの確立による働きがいと生きがいの両立
~仕事/プライベート(家族)の二者択一ではなく“ワーク・イン・ライフ”、働きがいと生きがいの両立を通じた “幸せ”の追求
(2)個人レベルの「知の探索」(イントラパーソナル・ダイバーシティ)
~本業の仕事とは異なる多様な経験や知見、つながりを持つことでイノベーションを創出できる人材に(リモート環境活用によるワークショップ・交流会参加、人脈・つながりの構築 等)
提言3:企業の変革・個人のキャリア形成を後押しする支援策の充実を 【政府(自治体)】
(1)デジタル庁創設を通じた企業のDX促進
~省庁の縦割り打破(デジタル庁を司令塔としてワンストップ化)、行政データ(医療等)の民間活用促進 等
(2)個人のキャリア形成・労働移動の支援
①キャリアの可視化や副業・兼業促進に向けた環境整備、長期雇用を前提とした諸制度の見直し
~働く時間・場所を本人に委ねる柔軟な労働法制、退職所得税制等の見直し 等
②地域における出向・副業のマッチング支援
~景気悪化時における雇用維持(ワークシェアリング)及び中長期的なキャリア形成支援(業種を跨いだマッチングの仕組みづくりについて、経済界・業界団体と連携)
以上
一般社団法人 関西経済同友会
企業経営委員会