提言・アピール等

今こそ「水の路づくり」構想の実現を
~御堂筋の大阪市移管を前に~

2011.10.03update

平成23年10月
社団法人 関西経済同友会

「水都・大阪」推進委員会

来年4月には、御堂筋の管理権限が国から大阪市へと移管されることが公にされた。大阪の顔づくりのあり方を当事者である地元が担うことになるのである。我々(社)関西経済同友会「水都・大阪」推進委員会は、今こそ「水の路づくり」構想実現に向けた格好の機会と捉え、世界に誇れる真の「水都・大阪」の実現をオール大阪で取り組むことを強く求める。

当委員会は、平成19年12月に「水の路づくり」構想を打ち出し、大阪のメーンストリートである御堂筋に、この街の成り立ちにおける最大のキーファクターとも言える「水」という要素を取り込むことで、都市コンセプトをより鮮明にすることを提案した。国際化が進み、都市間競争が激化する中、特性を活かし、統一されたコンセプトに基づいて都市整備を進めることにより「国際観光都市」として脱皮することが、将来にわたり活気ある都市として繁栄を続けるために、今大阪に求められていることだからである。この提言は大きな反響を呼び、御堂筋の活用法について議論を呼ぶきっかけとなったが、既成概念を払拭することは一朝一夕にはかなわず、現在に至っている。

しかし、一方で、当委員会の活動と呼応する形で進められてきた、行政をはじめとする各種団体の水都創出に向けた様々な取り組みは、大きなうねりとなり、「水都・大阪」のシンボルゾーンとも言える八軒家浜付近を中心とした中之島エリア、繁華街と直結した水辺空間を創出した道頓堀エリア、本年8月に都心のビーチが誕生した大川・桜之宮エリアなどで水辺空間の整備が実現した。この流れを加速させ、世界に誇れる「都市景観」を完成させるためには、大阪の大動脈である「御堂筋」に「水路」という新たな要素を付加し、「水都」のシンボルロードたらしめることこそが有効な手立てであると我々は確信している。

また、ヒートアイランド現象への対策として「水」は大きな力を発揮する。人のための空間を広げることは、中心市街地への過剰な自動車の乗り入れを抑止し、自動車依存型の社会からの脱皮にもつながる。「水の路づくり」構想は、環境面においてもこれからの街づくりのあり方を提案するものなのである。