人生の複線化で「新しい豊かさ」を創り出そう
~ 主体的に社会に参画し、参加・創出型コミュニティーから日本を変える ~
2005.05.01update
戦後、日本は目覚しい復興と成長を遂げ、世界第二位の経済大国となった。世界が目をみはる経済的成功は、戦後の経済成長至上主義モデルが有効に機能した証である。しかしその後、ベルリンの壁崩壊からグローバル化が進み、政治経済の枠組みが大きく変化した。わが国が、成熟社会に大きく踏み出した中で、かつてのモデルは時代に適合せず、その有効性を失っている。
日本では、少子高齢化が猛烈な勢いで進んでいる。ニートが85万人にのぼり、年間3万人を超える人が自殺し、国・地方はあわせて700兆円を越える長期債務を抱えている。わが国は今、経済構造、社会構造の両面で行き詰まり、社会の持続可能性への懸念が生まれ、閉塞感、不安感が拡がっている。
これまでのモデルは、中央集権、組織・集団主義、画一主義を基調とするものであった。多くの国民は「お上」に頼り、組織や社会への依存を強め、主体的に選択し、その結果の責任を負うという自立と自己責任を拒んできた。一方、社会にも、個人の選択を許容しない多様性の乏しい状況があった。人々は経済的な繁栄にばかり目を奪われ、何のための豊かさなのか、一人ひとりがどんな生き方をしたいのかという主体的な人としての原点が見過ごされてきた。その結果、働く人々は、仕事一辺倒になり、仕事以外のコミュニティーが、極めて希薄化してしまった。
現在の閉塞状況の原因は、これまでの経済成長至上主義モデルにおけるこれら歪みを克服できないことにあり、今まさに求められるのは、成熟社会にふさわしい新たな社会モデルを再構築することである。
2005年5月
社団法人 関西経済同友会
自立・参画社会構築委員会