事例から見る関西の農業発展に向けた取り組み
2009.05.01update
当委員会は、平成19年度、「強く自立した」国内農業の確立とWTO、EPA締結促進を訴えた提言「食料安全保障の確立に向けて」をとりまめ、関係者に広く配布し、その周知を図った。特に農林水産省に対しては、白須敏朗事務次官(当時)を訪問し、直接提言の趣旨を説明した。
昨年度の提言において、国内農業の競争力向上の観点から農地の面的集約を、優良農地を確保する観点から転用規制の厳格化を指摘した。また、耕作放棄地の再生と合わせて、新規参入を促進し、休耕田等の未使用の資源を最大限に活用する観点から、農地の所有権と利用権の分離等も指摘した。こうした取り組みを加速する施策を強力に推進することを再度、提唱する。
農業の活性化には、農地の問題と合わせ、農業主体の経営力の強化や新たな農業従事者の増加・育成が必要である。農業従事者の高齢化・減尐が進む現状に照らすと、新規参入の促進が喫緊の課題であり、ビジネスとして魅力的な、収益力ある農業を実現させていかなければならない。生産の完全なコントロールが困難な面がある農業も、加工技術の更なる開発やITを駆使した無駄のない配送ネットワークの構築により、収益を高めることが期待できる。
こうした認識のもとで、当委員会では、本年度も引き続き、わが国の食料安全保障の観点から、食料自給率の向上や農業活性化などに資する関西2府4県を中心とした実践事例の調査・研究を行った。以下、概要を報告する。
平成21年5月
社団法人 関西経済同友会
食料委員会