ポストコロナの日本経済復活に向けて
~4つのDXによるReshaping ourselvesと関西モデルで挑戦(4DX+1C)~
関西経済同友会 経済政策委員会(委員長=生駒京子 プロアシスト 代表取締役社長)は、提言「ポストコロナの日本経済復活に向けて~4つのDXによるReshaping ourselvesと関西モデルで挑戦(4DX+1C)~」を取り纏めました。
1.はじめに
わが国の弱点は、デジタル化の遅れ(Digital)、多様性のなさ(Diversity)、空前のレベルとなった政府債務(Debt)、政策決定の遅さと透明性・効率性の低さ(Decision)の4点。4つのDのトランスフォーメーションが日本経済の復活のために重要。そして、走りながら考える(機動性)、やってみなはれ(多様性)、なんぼのもんや(本質追求)の関西モデルで挑戦(Challenge)する。
2.提言 ~日本経済の弱点に対応した4つのDのトランスフォーメーション~
【第1のDX】制度・慣習の見直しまで踏まえたデジタル化
(デジタル・トランスフォーメーション)
・デジタル化に合わせて制度や慣習を変えていくことが重要。つまり、デジタル化と規制改革は車の
両輪。
・マイナンバーの普及は必須。その際、①過剰な規制(例:個人情報保護法)の見直し、②デザイン
思考でユーザー視点に立った魅力的なサービスと取り扱いやすさの向上(役所の都合をおしつけな
いこと)が重要。
・デジタル化の遅れはわが国全体の課題。産官学民がそれぞれの立場でデジタル化の遅れを見直すべ
き。
【第2のDX】ダイバーシティの進展による付加価値生産性の向上
(ダイバーシティ・トランスフォーメーション)
・人口減少社会の中では、キャリアアップ支援やリカレント教育の充実、正社員化などの就業機会の
創出による非労働力人口の労働力人口化が重要。そのツールとしてデジタルを活用。
・Work from anywhere時代が到来。東京だけでなく地方でも働ける時代にすべき。(東京一極集中
の是正)
・女性の活躍推進も当然ながら、ハンディキャップがある方、外国人、若者、高齢者が活躍できる
チャンスを作るべき。
・ダイバーシティ推進によるイノベーション創出。単なる作業効率の向上ではない、付加価値生産性
の向上を進めるべき。
【第3のDX】コロナ後に次世代へツケを回さない財政再建に速やかに移る仕組み
(デット・トランスフォーメーション)
・清算主義でも、野放図でもない、長期収支見通しによる計画的な債務削減策が重要。
・具体的には①「コロナ復興特別会計」による債務の見える化、②「コロナ復興特別会計」が野放図
にならないよう、独立財政機関による管理・監視、③デジタル技術を活用して必要な人に必要な資
金が回るような対応、④社会保障費を抑制しつつ、イノベーションなどの持続的な成長に繋がる分
野への投資、⑤規制改革の推進が重要。
【第4のDX】政策決定の透明化・迅速化・高度化
(デシジョン・メイキング・トランスフォーメーション)
・霞が関の構造が複雑化する中、各省庁への指示を出せる司令塔の設置や行政需要に応じた省庁組織
改革が必要。
・緊急時の首相の権限強化も検討。その場合、期限付、事後に国会や第三者による検証等の条件も必
要。
・過度な中央集権による霞が関のキャパオーバーが政策決定の遅延・非効率に作用。地方分権や地域
主権型道州制等、現場に決定権をもたすべき。いまこそ地方自治のあり方について議論すべき。
3.総括:自ら行動変容し、衆知を集め、全員の力で日本経済を創造的に復活
・経済政策委員会の提言は基本的に中央政府・政党に対して行うことが多いが、今回はReshaping
ourselvesとある通り、自分たち自身にも向けている。政府だけでなく広く一般に提言したい。
以上
一般社団法人関西経済同友会
経済政策委員会