「防衛3文書」の閣議決定に関して
2022.12.16update
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、アジア太平洋地域での緊張の高まりなど、国際情勢が厳しさを増している。特に、平和と安定に向けた防衛力の強化は、焦眉の急である。そのようななか、本日新たな「防衛3文書」が閣議決定された。
今回の決定に際して、以下の7点を特に求めたい。
- 我が国は、日米関係をより強固なものとすると同時に、基本的価値を共有する国々と外交・安全保障の両方において一層連携していくこと。
- 我が国の防衛力強化に際しては、金額ありきではなく、真に必要な事項を洗い出し、優先順位をつけ、「防衛力の抜本的強化」の中身を具体化していくこと。
- 今回の改定で焦点となった「反撃能力」の保有に関しては、国会などでの十分な審議を経た上で、整備を進めること。
- 「ハイブリッド戦争」が重みを増す中、特に、我が国は官民ともにサイバーセキュリティ対策で遅れを取っている。政府機関や主要インフラを守るための組織設計などを早急に整えること。
- 尖閣諸島や南西諸島などの島嶼防衛のため、訓練場所や兵站の確保、近隣住民を保護するための施策などを進めること。
- 事態が緊迫し、防衛出動が発せられることが予測される場合において、自衛隊が迅速、スムーズに対応できるよう法整備や後方支援の仕組みを整えること。
- 防衛力強化を効率的に進めるため、適正な情報管理を前提とした学術界や産業界との連携強化、防衛装備に関する調達先の多角化や契約方法の見直しなどを行うこと。
今回の改定は、防衛費の大幅な増額が不可避とされるなか、国債発行に依存し、負担を将来世代に押しつけることは厳に慎まねばならない。まずは歳出改革と財源確保を同時に進めた上で、それぞれの負担能力や経済成長とのバランスを勘案しながら、広く薄く負担する恒久財源が確保されるべきである。同時に国民は、安全には相応の負担が伴うことを前提に、自らの問題として考えなければならない。政治のリーダーシップ、民主主義国家として政治と国民との開かれた対話がなされることを大いに期待する。
以上
安全保障委員会
委員長 杉野 利幸