「匠の技」と最先端技術が融合する関西クラスターの構築
あらゆるものがインターネットにつながるインターネットオブシングス(Internet of Things、〈以下、IoT〉)に対する関心が日増しに強まっている。主要日刊紙を対象に、IoTが取り上げられた記事件数を月別にみると、2014年1月には12件であったが、その後右肩上がりで増加し、2016年1月には343件と2年前の30倍近くに増加した(第1図)。記事件数の顕著な増加は、まず2015年1月にみられた。この時は、IoTの普及を展望する年頭記事が多数みられ、また、米国で開催された見本市(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)において、インターネットにつながるテレビやヘルスケア関連製品が多数展示されたことも取り上げられた。その後、同年6月には、経済産業省と厚生労働省、文部科学省が取りまとめた「ものづくり白書」においてIoTが取り上げられ、関連の記事が多数掲載された。また、月末には、「日本再興戦略」の改訂版において、「迫り来る変革への挑戦(『第四次産業革命』)」、という章が設けられ、「IoT・ビッグデータ・人工知能時代の到来」との表現が用いられた。「ものづくり白書」の公表以降は、個別企業のIoTやビッグデータ分析等への取り組みに関する記事を目にする機会が増加している。
このような関心の高まりは、IoTやビッグデータ、人工知能の発達が企業にとって大きな事業環境の変化をもたらす可能性があるという見方を反映していると考えられる。こうした問題意識のもと、当委員会は最先端技術の現状と将来展望について有識者も交えながら議論を重ねた。そのうえで、最先端技術を関西のものづくり復権につなげる方策に関する提言を取りまとめた。
平成28年(2016年)4月
一般社団法人関西経済同友会
最先端技術ものづくり委員会