5年以内の道州制実現に党派超え取り組め
それが日本成長の起爆剤となる
2008.03.24update
今回、道州制ビジョン懇談会において、精力的な議論を経て中間報告がまとまったことは、実現に向けた政府の取り組みの第一歩として評価する。その内容も、「国の役割を16分野に限定」「中央省庁を大胆に縮小し、国家公務員を削減」「道州に立法権を付与」など、関西経済同友会が提唱する、新たな国の形となる『連邦的道州制』に近いものである。実現の道筋についても、道州制基本法制定、同法に基づく首相を長とする検討機関・道州制諮問会議(仮称)の設置など、具体的な工程表や手法を提示している点を評価したい。
このような道州制の実現は、地域の多様性、創意工夫、挑戦の気概を引き出し、伝統豊かで活力ある日本を復活させると信じる。われわれも、国任せにせず、関西広域連合(仮称)の早期立ち上げや、大阪府・市合併などにも自ら取り組んでいく。更に、九州はじめ各地域と共に、地方が主体となった国民運動へ志を高めていく。
しかし、道州制実現には中央省庁はじめ様々な抵抗が予想される。意味ある制度をより早く構築するため、最終報告とりまとめに向けて関西経済同友会は、以下の5点を提言する。
- 5年以内の道州制実現を
中間報告では、2018年までに完全移行するとしているが、グローバル競争が激化し、変化のスピードが速まる今日、10年という期間は長過すぎる。改革を本気で遂行するには、5年以内の移行を前提とする工程表と実行計画を作成すべきである。 - 国民理解の深化、世論の喚起を促す工程表を
道州制の実現には国民の強い支持が必要である。しかしながら今回提示された道州制の中身は、国民にはまだ十分に理解されていない。中間報告にある道州制実現によって、どのように国民生活が変わるのか、国民に具体的メリットをわかりやすく提示すべきである。 - 与野党は、党派を超え、志ある政治のリーダーシップを
国民理解と並ぶ道州制実現の両輪は、政治のリーダーシップである。国の形を変える改革に対しては、中央省庁をはじめとする激しい抵抗が予想される。福田首相はじめ与野党が、強い危機意識と志を持って超党派で取り組み、抵抗勢力を排し実現を進めることを求める。 - 道州制は国の形を変える大改革である。憲法改正論議の活性化を
中央集権から各地域の伝統と工夫を生かした社会への転換を図る道州制は、単なる行政改革ではなく、国の形を変える大改革である。その意味で、憲法改正論議を再度活性化し、改正の機会をとらえ、道州制をきちんと憲法に明記していくべきである。 - 地方からの自主的取り組みを可能とする多様な先行モデルへの制度整備を
今回、広域連合などにも道州制特区を適用すべきとの提案が盛り込まれたが、それに加え、2府県合併や府県・政令市合併にも道州制特区を適用するなど、地方からの自主的な取り組みを促す多様な先行モデルを可能とするよう、速やかな制度整備を求める。
以上
【補足】
※府県・政令市合併(大阪府、大阪市、堺市など)=州政府の機能純化、基礎自治体の強化の先行モデル
行政区域の拡大という観点ではなく、州政府として担うべき業務の純化、区域の拡大を伴わない課題の国からの移譲(科学技術・文化学術振興、高等教育、雇用など)、基礎自治体への権限移譲としての本格的道州制へのトライアル、先行モデルとしての意義あり。
また、懇談会で論点に上った大都市圏自治体のあり方にも対応する。
以上
2008 年 3 月 24 日
社団法人 関西経済同友会
地域主権実現委員会