アジアのプラスチック問題解決と我が国の経済成長の両立に向け、循環経済への移行を加速させよ
関西経済同友会 環境・エネルギー委員会(委員長=高澤利康 日本政策投資銀行 常務執行役員 関西支店長)は、提言「アジアのプラスチック問題解決と我が国の経済成長の両立に向け、循環経済への移行を加速させよ」を取り纏めました。
■ 課題認識
- プラスチックは戦後数十年で現代社会に不可欠な素材になった一方、世界で年間約3億トンが廃棄され、約600万トンが河川や海洋に流出し、環境・生態系への悪影響が懸念されている。
- プラスチックに限らず、従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」を前提とした経済モデルは限界に近づきつつあり、循環経済への移行が求められている。
■ 循環経済への移行に必要となる主な対応
1.企業による環境配慮設計
2.ビジネスモデルの変革
3.消費者の意識変革
4.リサイクル社会実現の加速に向けた技術開発・仕組作り
■ 提言
1.循環経済移行に向けたビジネスモデル変革に覚悟を持った取組を! 【企業】
・企業は、循環経済への移行をグローバルな不可避の潮流と認識し、生産・サービス両面でビジネスモデルの変革に覚悟を持って取り組むとともに、資源循環とそのマネタイズに向けた人材育成に注力すべき
・デジタル技術を活用し、新たな顧客ニーズの獲得と限りある資源の循環の両立を果たすべき
2.消費者の行動変容に向け、行政と企業は連携し、サステナビリティ教育の更なる充実を! 【行政・企業】
・エシカル消費等のサステナブルな消費を「クール」と捉える社会に向けて、行政は初等・中等教育におけるサステナビリティ教育の更なる充実を図るとともに、企業は行政と連携して実感や共感を生む教育プログラムの開発・提供に取り組むべき
・企業は消費者の行動変容に向け、自社取組の適切な発信に努めるべき
3.企業はプラスチックを中心としたリサイクル技術のイノベーションに取り組むとともに、政府は研究開発や国内外への普及に向けた支援を! 【行政・企業】
・循環型社会の実現に向けては、リデュース・リユースに加えて、リサイクル後も元の製品と同様の品質や耐久性を維持することができる水平リサイクルの拡大等に向けたイノベーションが不可欠
・企業は、企業間/産官学連携、スタートアップの活用等を通じてイノベーションに取り組むとともに、政府は、研究開発や、そうした製品の流通面における普及初期段階の支援拡充に取り組むべき
・政府は、資源循環に関する我が国の優れた製品・サービスの海外展開に向けた財政支援、リスク補償を充実させるとともに、アジア諸国への働きかけを通じてイニシアティブを取るべき
■目指すべき姿
・循環経済への移行に向けて、企業、行政、消費者が一体となり取り組むとともに、我が国の優れた製品やサービス、社会インフラを資源循環の仕組みが十分整っていないアジアを中心に、グローバルに展開することで、グローバルな社会課題解決と我が国の経済成長の両立を実現する
・2025年の大阪・関西万博は、未来の循環型社会のあり方を示すと共に、来場者が体験、価値観を共有する場に
以上
一般社団法人 関西経済同友会
環境・エネルギー委員会