循環経済モデルの実現に向けて!3回目となる対馬視察&清掃体験を実施 ~ビジネスモデルや行動の変革について活発に意見交換~
GX推進委員会は10月10日~11日、プラスチック問題の解決をはじめ循環経済への移行に向けた取り組みの輪を広げるべく、本会として3回目となる対馬視察を実施。牧裕文 GX推進委員会委員長(日本政策投資銀行 常務執行役員 関西支店長)、角元敬治 代表幹事(三井住友銀行 取締役副会長)ら30名が参加し、「国際的な海ごみのホットスポット」に位置し「ごみゼロアイランド」を目指す長崎県対馬市において、海岸清掃、リサイクル設備見学を行うとともに、対馬の豊かな自然と歴史にふれつつ、海ごみ・生物多様性・漁業の複合的な解決が求められる現状を視察しました。また、昨年9月の「対馬モデル(循環経済モデル)」の研究開発に関する連携協定締結をふまえ、企業・行政・消費者として取り組むべきこと、ビジネスを通じた課題解決について、比田勝尚喜 対馬市長をはじめ対馬市・長崎県関係者ら12名と活発な意見交換を行いました。
■海ごみの現状視察・清掃体験
上野芳喜 一般社団法人対馬CAPPA(Coast and Aquatic Preservation Program Association) 代表理事らから対馬における海ごみの現状説明を聞き、現場を視察。その後、清掃体験を行い、韓国や中国等から漂着したペットボトルや漁具、発泡スチロール等、多種多様かつ膨大な量のごみを前に、 問題の深刻さを改めて体感しました。クジカ浜は車でのアクセスがむずかしく、同様の海岸は対馬内に数多くあります。過疎化・高齢化が進む中、回収したごみを人が運び出す必要があり、分別・回収のみならず運搬にも課題があることを認識しました。今回の海岸清掃では、米国・韓国領事館関係者も共に作業し、海ごみ問題に対する国際的な関心の高まりと問題意識を共有しました。
■対馬クリーンセンター中部中継所
回収された海ごみ等の再資源化の現場を視察
同施設では、回収された海ごみが集約され、再資源化できるように種類(カゴ、ブイ、タンク等の硬質プラスチック、発泡スチロール)や色ごとに再選別・再加工される様子を視察。阿比留正臣 対馬市環境政策課長は「海ごみは性能の劣化や異物の混入等があるため扱いづらく、労力・コスト負担等の課題が多い。再資源化されたものを企業が買う事例も出ているが、一部に留まっている」と語り、今後、本格的に循環経済を持続させていく上での課題について話を聞きました。
■対馬市との意見交換会
比田勝市長ら対馬市関係者と具体的な取り組みについて意見交換
比田勝尚喜 対馬市長による挨拶、前田剛 対馬市しまづくり推進部SDGs推進課 副参事による対馬の現状・取組説明、福田裕司 GX推進委員会 委員による対馬モデルの進捗説明を受けました。意見交換テーマ「スケールメリットの小さい地域(島しょ地域等)の中で、サーキュラエコノミーを実現させるために、企業・行政・消費者として取り組むべきことは何か」について、ビジネスを通した具体的な課題解決を進めるべく意見交換を行い、参加者からは「対馬ではゴミを定量的に把握しており、その計数は資源循環モデルを構築するうえで有用」「市場環境や需要側の変化にアジャイルに対応できるような取り組みが求められる」「カーボンオフセットの追求、カーボンクレジットの活用も一案」「海洋プラごみ問題への取り組みをより積極的に発信し、対馬のブランドを高めていけると良いのでは」といった意見が出されました。
■対馬野生生物保護センター
野生生物保護レクチャー・ツシマヤマネコ見学
柴原崇 環境省九州地方環境事務所対馬自然保護官事務所 首席自然保護官より、対馬野生生物保護センターにおける取り組み(治療/リハビリ・交通安全対策・シカ対策・展示施設運営・地域との協力等)と、ツシマヤマネコの現状について話を聞きました。ツシマヤマネコや野生生物と、自然と深く繋がる対馬の暮らしの関わりについて学びを深めました。
■海の保全活動講話レクチャー&海上視察
磯焼け・ブルーカーボン減少・漁業の現状を視察
温暖化を背景とした生態系の変化により、一部の海生生物が海藻を食い荒らす状態が深刻化しています。これにより海底の岩や石が露出し(磯焼け問題)、藻場に生息する水産資源が減少しているだけでなく、ブルーカーボンとして大気中のCO2吸収・海中貯蔵する機能も低下しているのが現状です。これをふまえ、有限会社丸徳水産 専務 犬束ゆかり氏より、海藻を食い荒らす食害魚の活用や海藻養殖等、漁業再興とブルーカーボン回復に向けた取り組みについて話を聞き、海上視察を行いました。