
2025年1月23日
大阪・関西の文化力向上
初春文楽視察『仮名手本忠臣蔵』 ~人形遣い 吉田玉勢氏によるレクチャーとともに~
文化・芸術の力委員会(委員長=久保行央 トヨタモビリティ新大阪 代表取締役)では、1月23日、今年度も日本を代表する大阪の伝統芸能である文楽視察を実施。人形遣い 吉田玉勢氏による事前レクチャーにて、文楽の歴史と情感溢れる人形遣いの技を間近で拝見した後、初春文楽公演『仮名手本忠臣蔵』を鑑賞し、その迫力を体感しました。
■人形遣い 吉田玉勢(よしだ たませ)氏
17世紀初め、西宮の戎神社に人形操りを行う傀儡子(くぐつし)がいた。彼らとの協力で人形浄瑠璃が始まり、文楽へと発展した。戎神社の境内には百太夫を祖とする百太夫神社がある。竹本義太夫が義太夫節を作り、近松門左衛門が数々の演目を執筆。世話物や心中物など、実際の事件を題材にした作品も多い。
初期には、大坂の人形遣い・辰松八郎兵衛が初めて一人で顔を出して人形を操る「出遣い」を行い、人気を博した。これは淡路や徳島、人気が出て九州、関東にも広まった。人形のかしらと右手を遣う「主遣い」、左手を遣う「左遣い」、足を遣う「足遣い」の3人で一体の人形を遣う「三人遣い」は、吉田文三郎によって考案された。「蘆屋道満大内鑑」の籠を担ぐ場面がその起源とされる。その後、今日の形へと発展を遂げた。
文楽人形のかしらには仕掛けがあり、これを操作し感情の機微を表現する。役柄に応じて鬘を付け、顔色を塗る。顔色は、胡粉や紅殻を混ぜて独特の色合いを生み出す。磨きをかけないのが特徴だ。人形遣いの基本衣装は黒衣(くろご)と頭巾である。頭巾を被るとどの位見えるのか、よく質問されるが、意外とよく見える。本日の演目もぜひお楽しみいただきたい。