2014年2月7日
関西財界セミナー(1963年~)
第52回関西財界セミナーを開催
580名が参加。宣言を採択。
われわれは、長く続いたデフレから脱却して持続的な成長を確実に実現すべく、第52回関西財界セミナーにおいて「新たな成長の実現」をテーマに議論を行った。新たな成長を実現するには、新しい力が必要である。われわれは、本来関西が有している多様な地域の力、すなわち民間の力や人材の活力を呼び覚まし、次の成長を創造する。また、アジアの新しい可能性を見出し、その力を取り込む。こうした変革を通じて関西から新たな成長を実現し、日本経済の再生を力強く牽引していくために、以下の通り宣言する。
- 日本経済の再生は、「ものづくり」の復権なしにはあり得ない。われわれは、日本の「ものづくり」への自信を取り戻す。そしてイノベーションを生み出し、世界の顧客の感動や共感を得る新しい製品を世に送り出す。そのために、自前主義にとらわれず、組織・国境を越えたオープンイノベーションを一層進める。さらに、不断の経営革新や、協力会社・関係会社との連携強化を通じて日本企業が持つ「ものづくり」の潜在力を最大限に引き出し、技術力、生産性の向上を図る。
- アジアはダイナミックに変化している。われわれは国ごとに異なる歴史や政治・文化を理解し、交流を深め、同じ目線で共に成長を図る。また、アジアの多様性と変化のスピードに対応できるグローバル人材の育成や現地人材の活用に取り組む。課題先進国としての日本の経験や技術をアジアに伝えることで、アジアの発展に貢献し、企業の成長も実現していく。一方、海外の方々を受け入れるインフラの整備を更に進め、関西に集積する研究開発機能を強化し、留学生をはじめ多様な人材が集まり、活躍できる地域にすることで、関西をアジアビジネスの中核拠点にしていく。
- 関西に世界の人や企業を呼び込むために、経済と文化を両輪とした地域の活性化に取り組む。われわれは、BID制度をはじめ新しいエリアマネジメントを通じ、地域の核となる都心の魅力を高める。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、その翌年の関西ワールドマスターズゲームズ2021をターゲットに据え、関西が一体となった観光戦略やブランド戦略をスピード感を持って策定し、具体的に実行する。統合型リゾートおよびMICEについて関西全体の視点から議論を深める。ゲートウェイである関西国際空港については、交通アクセスの改善を含め一層の利便性の向上と活用に取り組む。
- 関西は、多様な人材が働き、力を発揮し、活躍できる日本の先駆的地域を目指す。われわれは、女性の活躍推進に向けて、多様な働き方を支える企業の取り組みを進め、保育所拡充など行政の取組・支援を促す。更に、社会全体、特に男性の意識改革を迫ることで、女性の力や感性を企業の成長や社会の活性化に結びつけていく。また、企業活動や政治活動を通じて社会を変革し新たな成長を築く人材を見出し、育て、活用する。このため、経営者は自らの意識を変革し、社内の諸制度を整え、異質性・多様性を受容するとともに、チャレンジを称賛し、失敗を許容する企業・社会風土の構築に取り組む。
- 上記を推進するため、政府には、積極的な経済連携の推進、日本再興戦略の着実な実行、特に「国家戦略特区」における大胆な規制改革を求める。また、電力の低廉かつ安定的な供給の確保は成長戦略実現の必須条件であり、安全が確認された原子力発電所の一日も早い再稼働を強く要望する。さらに、法人実効税率の引き下げ、社会保障制度改革をはじめとする財政の健全化を求める。国土強靱化の観点から、東京一極集中を是正するとともに首都中枢機能のバックアップ体制の構築、複眼型の国土構造の実現を、また、リニア中央新幹線は、国のリダンダンシー(基幹的交通インフラの複線化)にもかかわる重要な国土軸であることから、東京・大阪間を全線同時開業すべきであり、明確に国家プロジェクトと位置づけることを強く求める。