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私達の取り組み
安全保障問題への積極的な取り組み       ~既存のタブーを恐れない姿勢を貫く~
2017年8月10日
日本の安全保障の確保

安全保障問題への積極的な取り組み       ~既存のタブーを恐れない姿勢を貫く~

 本会の安全保障問題についての歴史的ともいえる活動は、19785月に欧州に派遣した国の安全に関する国民意識調査団(団長 山田稔代表幹事 故人 ダイキン工業社長:当時)が原点である。当時、日本では安全保障問題を取り上げること自体が、戦後日本社会のタブーの一つであった。この調査団の背景には、本会が1977年から取り組んだ「国民意識」路線の活動がある。それは、安全保障、教育、政治など、戦後日本社会に根づいていたタブー意識を、国際常識の視点から見直し、この改革を国民運動に展開しようというものだった。

 特に安全保障とりわけ防衛問題については、当時経済人が口にすることすらはばかられるような雰囲気があった。厳しい国際政治の常識からみれば全く通用しない一国平和主義が政治から国民意識まではびこっていたと言える。  

 帰国後の提言は、以下4点を強調した。

1.欧米各国の国民がコストを負担し犠牲を払っても、本当に守るべき価値としている「民主主義と自由で安定した市民生活」について、わが国では国民的合意がまだ確立されていないとして、「日本の真に守るべき価値」とは何かを明確にし再認識するところから始めるべき。

2.わが国は、政治、経済、社会などあらゆる分野にまたがる総合安全保障体制を早急に確立すると同時に、わが国の生存の基盤である多国間相互依存構造を自らの安全保障の見地から再構築すべき。

3.国の安全に関する国民意識の醸成に、欧米各国があらゆる機会をとらえて地道な努力をつづけていることに学び、安全保障についての教育システムの充実を図るべき。

4.軍事的脅威だけでなく、災害、経済パニック、治安問題など予想される我が国の危機に対する危機管理のための機構と制度の整備をすべき。 

 当時、本会が同調査団の派遣を発表したところ「右傾化する関西財界」との批判を浴びた。しかし本会はそのような批判を意に介さず、同友会こそが自由な経済人であり、一市民であるとの意識をもって、安全保障政策を支える国民意識の改革に重点をおいて取り組んだ。この提言は、当初の狙いどおりわが国の安全保障論議に大きな一石を投じることになり、戦後のタブーを打ち破ることになった。

 上記調査団を派遣後に設立された安全保障委員会の歴史は長く、外交・安全保障分野の地に足のついた調査と提言に加え、安全保障に関する国内外との交流は、米国(ハーバード大学とのボストン・シンポジウム)をはじめ、中国(関西・上海経済会議、日米・中三極シンポジウム)、大韓民国・台湾(訪問団)、沖縄(沖縄・関西交流セミナー)、在日米軍基地・自衛隊施設(視察・意見交換)と活発な活動を行っている。

 2015930日にいわゆる安保法制として「平和安全法制整備法」と「国際平和支援法」の二法が公布されたが、本会においてはすでに40年近く前、安全保障議論そのものがタブー視された時代から経済界として先駆けて議論・研究し、総合的な安全保障体制の確立についてその必要性を主張してきた。昨今、開かれた安全保障議論が広がってきた社会状況を受け「本会の主張が受け入れられる時代になった」と、いまその感を深くする。