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私達の取り組み
ロバート キャンベル氏 講演会「今、改めて考える文化・芸術の力  ~未来社会へのメッセージ~」を開催
2025年4月7日
大阪・関西の文化力向上

ロバート キャンベル氏 講演会「今、改めて考える文化・芸術の力 ~未来社会へのメッセージ~」を開催

文化・芸術の力委員会(委員長=久保行央 トヨタモビリティ新大阪 代表取締役社長)では、4月7日、日本文学研究者・2025年日本国際博覧会協会 理事 ロバート キャンベル氏を講師に迎え、講演会を開催。「今、改めて考える文化・芸術の力 ~日本文化の魅力と美意識、未来社会へのメッセージ~」をテーマにお話を伺いました。


■ロバート キャンベル氏

文化がシェルターになることができるか

私にとって、2011年の東日本大震災は、大きな転機であった。被災地での朗読会などの活動を通じて、非常時には相互の関係性が築きにくく、閉鎖的になる中、文化・芸術の力について目を開かされた。
2022年2月、ロシアがウクライナを侵攻した。避難者の証言を記録するウクライナの詩人の活動を知り、日本の読者に共有したいが翻訳だけでは伝わらないと考え、現地を訪問。古典文学を専門とする立場から、江戸時代の人災、天災に人々がどう立ち向かい回復していったか、書物・絵画などを読み解いてきたことがウクライナとの関わりにもつながっている。文学は、非常時に心の支えとなる即効性を持ち、文化・芸術は国境や時代を超えて力を与えると確信。2023年12月、ウクライナ人避難者の証言を集めた『戦争語彙集』日本語版を出版した。


大阪・関西万博、日本は世界と響き合うことができるか

ドバイ万博の日本館アドバイザーに続き、大阪・関西万博ではシニアアドバイザーや協会理事として参画。過去の万博との違いとして、二つの同心円、中央の「静けさの森」がある。そこでは何も見せず、何も売らず、未来を考えることもしない。交差する人の気配、鳥の声など、様々なものが響き合う空間として空けておく。これは日本でなければ生まれない発想だ。
世界最大級の木造建築「大屋根リング」は日本の伝統技術と現代の耐震基準を融合させた画期的構造で、その下は心地よい空間となり、影が美しいものになっている。
各国のパビリオンは「いのち」というテーマに応え、大屋根リングと響き合うように設計されている。企業の方々にとっては、各国が抽象的な「いのち」というお題を、どう受け取り形にしたかを見ることで、ヒントが得られるのではないか。パビリオン建設が難しかったウクライナも、展示やイベントで参加予定である。大阪・関西万博は、日本が世界と交信、響き合うことができるか試される大切な機会になるのではないか。