ミュージアムで目覚める学びの力 ―「みんなで、みると、みえてくる」特別講演会・対話鑑賞を実施―
文化・芸術の力委員会(委員長=浮舟邦彦 滋慶学園 理事長)では、2018年~2021年「なにわの企業が集めた絵画の物語」展(全3回)の成果を未来に継承すべく、12月4日、特別講演会を開催。美術鑑賞教育の第一人者、国立アートリサーチセンター ラーニンググループリーダー 一條彰子氏を講師に迎え、講話と対話鑑賞により「ミュージアムで目覚める学びの力」を体感しました。
■国立アートリサーチセンター ラーニンググループリーダー 一條 彰子 氏
対話鑑賞は「みんなで、みると、みえてくる」、Visual Thinking Strategiesをもとに美術館での学びに最適化させた鑑賞法だ。作品情報に頼らず、観察や対話を通してグループで解釈しながら作品の本質にアプローチする。
対話鑑賞のポイントは「見る、考える、話す、聞く」こと。情報や先入観にとらわれず観察することは、現場での見る力、気づく力を育む。作品をみて問いを立て推理することは、オリジナルな発想につながる。自分の言葉で根拠をもとに話し共感を得ることは、語彙力、ロジカルシンキング力を高める。聞くことは、自分とは違う視点への気づき、多様性の受容、クリティカルシンキング力につながる。
美術館教育の広がり―教育からラーニングへ―
美術館教育は、学校教育(ナショナル・カリキュラム、探求学習、教科を越えた学び、STEAM教育、SDGs、ICT)、ウェルビーイング(超高齢社会、認知症、孤独孤立の解消、文化的処方)、DEAI(多様性、公平性、アクセシビリティ、社会包摂)に広がっている。アート×医療×福祉×テクノロジーの産学共同研究も行っている。多くの人にとって美術館が大切な存在であるよう、今後も取り組んでいきたい。