関西経済同友会とは

平成28年度 事業計画

平成 28年4月1日

次世代の幸福につながる成長を目指して
〜アジアで輝く日本・関西に向けた尖った提言と地に足をつけた行動〜

一般社団法人 関西経済同友会

I.基本方針

わが国は、世界に先駆けて「人口急減・超高齢社会」に突入している。こうした中で、 経済の持続的な成長と財政の健全化を実現していくため、既存の政策・制度を抜本的に 見直すことが求められている。これまで、わが国では、高齢世代や既得権益者に手厚い 政策を取られることが多く、若者や子育て世代等に十分な配慮がなされていたとは言い 難い。しかしながら、未来の日本・関西を創っていくのが若者や子育て世代であること を考えると、彼らの幸福を志向した政策に転換していくことが、わが国が今後も発展し ていくための喫緊の課題である。持続不可能な財政赤字を抱えているわが国においては、 政策転換に向けて、残された時間は少ない。実施すべき改革の内容の多くは、既に明ら かになっている。今こそ、速やかに行動すべきである。

次世代が輝くことのできる社会を創るため、「国」は「国のあり方」を示し、国民の痛 みの伴う改革を断行する一方、新産業・雇用の創出に真正面から取り組むべきである。 すなわち、財政再建と経済成長の二兎を追う政策を素早く打ち出していかなければなら ない。

次に「地域」は、地域の知と力を結集し、グローバルな都市間競争に勝ち抜くべく、 自らが持つ強みを磨き、地域の活性化を図っていかねばならない。地方分権を進めるほ か、それぞれが独自性を示し、東京とは違う形で発展していくことが重要である。そし て、そうした取り組みが東京一極集中を是正すると強く信じる。

われわれ経済人は、次世代に対する大きな責任を認識し、自らの気概と覚悟を実践で 示さなければならない。関西経済同友会は、今年、創立 70 周年となるが、設立に際して の声明書のなかで「会員相互の切磋琢磨によって得られた政策意見等はこれを率直に発 表して世論に問うと同時に必要なる実践活動をも敢えて惜しむものではない」と高らか に謳っている。 今年度は、この精神に立ち返り、次世代の幸福に向け、会員間の活発な交流・議論を 促す新たな取り組みを推進することで、尖った提言を発信し、さらには、国・地域・企 業の活性化のため地に足をつけ着実に行動していく。

II.重点課題

1.次世代のための行動

●次世代が輝く社会を創る ~国のあり方~

次世代を担う若者が、希望を持って成長・活躍していくことが出来る社会を築くた め、高齢者や現役世代が自らに痛みを伴う改革に正面から取り組まねばならないこと を提言し、行動に結びつける。また、わが国が世界の平和に貢献するとともに、自ら も平和で安全な社会を守っていくには、いかなる外交が必要となるかを提示する。

●新産業と雇用を生み出す ~イノベーションの創出~

技術革新は、ものづくり現場の改善や新ビジネスの創出等に繋がる一方で、ロボッ トや人工知能等によって雇用が奪われる懸念もある。技術革新にうまく対応し、新産 業と雇用の両方が生み出される方法について提言する。また、IT 化の更なる進展など、 新しいビジネスの潮流が次々と生まれるなか、中堅企業が如何に対応していくのか、 どのようなビジネスが今後有望かについても研究していく。

2.関西の知と力の結集

●次の成長産業の創出 ~関西の強みを磨く~

関西が、東京に並ぶ極としてわが国を力強く牽引する地域となるため、関西の強み を磨き、次の成長産業・企業を創出することに取り組む。具体的には、関西企業がT PP・RCEPを活かしてアジア・太平洋地域とWIN-WINの関係を構築するた めの政策、関西がベンチャー企業が次々と生まれる地域になるための産学官金の連携 のあり方、関西が世界に冠たる医療都市となるための方策等について提言する。

●広域行政・地方分権の推進 ~関西らしさの発揮~

対「東京」という国内目線ではなく、グローバルな都市間競争の中で、関西が世界・ア ジアで有数の都市圏となるためには、どのような広域行政・地方分権のあり方が望まし いかを提言する。

●連携の拡大・深化 ~オール関西の実現~

「関西は1つ」との理念の下、関西の持つ多様な魅力を有機的に結びつけ、オール関西 による活性化にむけた取り組みを推進する。

3.活動基盤の強化

●次の10年に向けた活動 ~交流の場づくり~

今年 10 月に創立 70 周年を迎える関西経済同友会が、次の 10 年に向けて、提言力・ 実行力を磨き、更なるプレゼンスの向上を図っていくため、発信力の強化や会員満足 度・参画意識の向上等に努める。講師の充実や交流の場作り等において新たな取り組 みを進める。

III.具体的な活動計画

上記の基本認識、重点課題を踏まえ、以下のとおり、平成 28 年度の委員会を設けて、 積極的な活動を行う。

<同友会全体としての活動や課題に取り組む組織>

1) 総合政策審議会(継)

関西経済同友会全体としての発信力強化、提言の実現性・実効性の向上に向け、政 治家や行政関係者、有識者との意見交換、交流の取り組みを行う。

2) 調査企画部会(継)

代表幹事の諮問を受け、適宜、諸課題に対する検討を行う。

3) 会員満足度向上委員会(新)

会員増強、会員満足度向上(事務局と協働)、会務運営(HP更新を含む)につい て検討・対応を行う。

4) 経済同友会連携会議(継)

他の経済同友会と連携して、地域活性化に向けた取り組みを行う。また、京阪神経 済同友会連携の定例化(年数回の例会開催)等について調整を行う。

5) 70 周年記念事業実行委員会(改)

関西経済同友会創立 70 周年記念事業を実施する。

<主に特定事業の支援・実行に取り組む委員会>

6) サイバー適塾支援委員会(継)

サイバー適塾の会員増強やカリキュラムの充実等の支援を行う。

7) お水汲み祭り支援委員会(継)

堂島薬師堂節分お水汲み祭りの支援を通じ、水都大阪の魅力向上に取り組む。

8) 海外交流委員会(継)

海外の重要拠点との交流を継続することにより、交流先との信頼感を醸成し、 友好関係を確立する。また、第 24 回ボストンシンポジウムを開催するとともに、 ハーバード大学教授を関西に招き、会員と交流を進める関西・ハーバードフォーラ ムを実施する。

9) 大阪「食文化」プロデュース委員会(継)

大阪が誇る食文化の情報発信を行うとともに、日本酒発祥の地である関西には、多 くの酒蔵があるほか、有名なワイナリー等もあることから「酒と食」などをテーマ 候補として、食文化の調査・研究を行う。

10)関西広域インフラ・うめきた委員会(継)

関西広域インフラ(リニア中央新幹線/北陸新幹線/ミッシングリンク/港湾等)の 整備促進にむけた調査・研究を行う。また、うめきた2期開発の動向把握を行う。

11)関西 2019・20・21 委員会(継)

スポーツ分野を中心に過去の提言のフォローアップを行う。具体的には、WMG組織 委員会でのレガシー検討委員会等への意見具申等の対応を行う。また、2019~21 年の 三大スポーツイベントを盛り上げるための会員向け活動(スポーツ観戦等)も行う。

<国・自治体や企業等への提言を主目的とする委員会>

12)芸術・文化委員会(継)

東京オリパラ、関西WMGに向けて、関西における文化プログラムの取り組み 方を調査・研究し、関西の地方自治体に対して政策提言を行う。併せて、アー ツサポート関西の支援、芸術文化イベントの視察を実施する。

13)安全保障委員会(継)

平和安全法制の下で、積極・多角的な外交力を強化するため、ソフトパワーの発揮、 国としての情報発信力の強化など、具体的にどのような対応をすべきかを調査・研 究、提言する。

14)経済政策委員会(継)

経済・財政政策等に関する調査・研究を行うとともに、2020 年度プライマリー・ バランス黒字化に向けた方策を提言する。

15)企業経営委員会(継)

TPP・RCEPを関西企業のチャンスにするという観点から、関西企業が、海外 進出を実施・加速するための方法や、グローバルサプライチェーンの中で存在感を 発揮する方法、求められる政策支援について、調査・研究、提言する。

16)中堅企業委員会(継)

新しいビジネスの潮流の中で、どのようなビジネスモデルが中堅企業にと って有望かを 2 年間調査・研究し、報告書にまとめる。

17)関西・大阪の行政のあり方委員会(改)

グローバルな都市間競争が激しくなる中、関西が世界でも有数の都市圏となる ために、アジア大都市の事例分析も踏まえ、広域行政や地方分権のあり方につ いて調査・研究、提言する。また、大阪府・市の動きをウォッチし、適宜対応 する。

18)関西MICE・IR推進委員会(継)

大阪・関西らしいMICE(会議・報奨旅行・学会・展示会)・IR(統合型リゾ ート)の実現に向けた具体的方策に関する調査・研究を継続、提言する。今年度中 のIR推進法成立を前提に、政府・自治体の対応や各事業者の動向をフォローアッ プする。

19)「新しいものづくり」委員会(改)

IoT や人工知能、ビッグデータ分析などの最先端技術を関西のものづくり企業の現 場に、具体的にどのように落とし込み、競争力向上や付加価値の創造等につなげて いくのかについて調査・研究、提言する。

20)関西版ベンチャーエコシステム委員会(新)

京大・阪大・神戸大等のベンチャー養成プログラム、うめきた等のイノベー ション拠点、大企業が取り組むオープンイノベーション、技術力のある中小 企業、地公体の連携プラットフォーム等をうまく活用し、次世代を担う企業 が次々に生まれるベンチャーエコシステム(生態系)を関西でいかに作って いくかを調査・研究、提言する。提言には、関西・ハーバードフォーラムの 議論等も織り込んでいく。併せて、外部へのメンター派遣を検討する。

21)雇用の未来委員会(新)

わが国では、看護・介護や建設・物流など労働力の供給不足がみられる分野に おいて、外国人人材・ロボット等への期待が大きくなっている。一方、将来的 に雇用の半分は機械に置き換わるという予測もある。外国人人材の活躍推進等 の短期的な課題と、技術革新の影響といった中長期的な課題の両面について、 企業・社会は採用・教育・職種転換等をどのように行うべきかを調査・研究、 提言する。

22)次世代志向の政策を考える委員会(新)

シルバーデモクラシーを見直し、若者が活躍できる社会を創っていくための政策に ついて、高齢者に手厚い制度(負担と給付のバランス)の是正のほか、若者のアイ デアを政策に活かしていく仕組み、企業の取り組み、教育のあり方等を調査・研究、 提言する。2 年委員会としてじっくり議論を行う。

23)医療都市「関西」委員会(新)

関西が世界・アジアをリードする医療都市になるためには、得意分野である先端・ 再生医療の強化と、ビッグデータ活用等の新分野で他地域に先駆けた研究拠点の整 備等の対応が重要である。それに向けて、1京大・阪大等の先端医療・公立医大の 地域連携といった大学の活用、2AMED・PMDAの西日本拠点への機能移転の 拡大、3地域ビックデータ等の集中管理・調整機関、4うめきた・中之島等の医療 拠点としての活用等、必要とされる人材像とその養成等について研究し、各拠点の 独自性の明確化と棲み分けを提言する。

<会員相互の交流、自己啓発を主目的とする委員会>

24)時事問題研究会(継)

時事問題をテーマとした有識者による講演会に加え、現場への視察や意見交換等を 通じ、自己研鑽に資する活動を行う。

25)会員懇談会(継)

時宜を得た講師の招聘による啓発活動を推進するとともに、会員相互の交流を促進する。

26)若手の会(改)

メンバーの自主運営による若手会員(50 歳未満)の交流促進、自己研鑽を行う。併 せて、同友会会員をメンターとする交流会を開催する。