「大阪都構想」の是非を問う住民投票に向けて
2015.03.17update
この度、大阪府議会及び大阪市会において、「大阪都構想」に係る特別区設置協定書が承認された。これにより、「大阪都構想」の是非を問う住民投票が、本年5月17日に実施されることとなった。今回の住民投票は、大阪市の有権者約215万人を対象とした過去最大規模のものとなるだけでなく、これからの大阪のあるべき姿を問い、その進路を選択する重要な岐路に立つという意味において、注目すべき事案である。
また、本年4月には、この住民投票に先立ち、統一地方選挙が行われる。
有権者には、今回の統一地方選挙と住民投票が、大阪の未来にとって重要な意思決定となることを認識いただき、各党・会派の主張や議論に注目し、自らの理解を深めることにより、しっかりと投票行動に移していただきたい。
しかし、今回の最大の争点である「大阪都構想」の是非については、「各党・会派の議論がかみ合っていない」「住民にとってわかりづらい」などの批判も多く、明確な論点のもとで十分な議論が尽くされてきたとは言い難い。
今回は、有権者にとって「大阪都構想」に対する民意を表明し、これからの大阪にとって望ましい統治機構のあり方を選択する重要な機会であり、その判断に資する十分な情報提供が求められる。来る住民投票に向け、賛成派・反対派が真正面から議論を戦わせ、有権者の理解と関心を深める有意義な活動が展開されることを期待し、以下のとおりアピールする。
- 各党・会派に対して
各党・会派は、単に「大阪都構想」に対する賛成・反対だけを主張するのではなく、これからの大阪にとって望ましい統治機構のあり方とその根拠を有権者に対して明確に示すべきである。
その際、「大阪都構想」を選択した場合とそうでない場合(対案)とに分け、①大阪の経済にどのような影響をもたらすのか、②住民の暮らしや教育・医療・福祉などの行政サービスにどのような影響をもたらすのか、③二重行政解消をはじめとした行財政改革がどのように促進されるのか、などの観点から、メリット・デメリットや費用対効果を明確にした上で、それぞれの立場・見解を具体的に示し、有権者の理解が一層深まるよう努めていただきたい。
また、各党・会派は、これらの主張について、論点を明確にした上で真っ向から議論を戦わせていただきたい。感情的な議論に陥ることなく、住民目線に立った建設的な議論が行われることを強く望む。 - 各メディアに対して
各メディアは、各党・会派の主張を具体的に引き出し、論点を明確化するとともに、住民目線で課題や疑問点に踏み込み、その内容を比較・整理するなど、有権者の適切な投票判断に資する具体的でわかりやすい情報発信をお願いしたい。
以上
2015 年 3 月 17 日
一般社団法人 関西経済同友会
代表幹事 加藤 貞男
代表幹事 村尾 和俊