文楽視察『奥州安達原』を実施 ~太夫 豊竹希太夫氏、三味線 鶴澤清丈氏によるレクチャーとともに~
文化・芸術の力委員会(委員長=浮舟邦彦 滋慶学園 理事長)では、11月22日、日本を代表する大阪の伝統芸能である文楽視察(於:国立文楽劇場)を実施。2018年度から実施し今年で6回目となる今回は、太夫 豊竹希太夫氏、三味線 鶴澤清丈氏による実演・講話の後、11月文楽公演『奥州安達原』を鑑賞し、太夫の語りと三味線、人形が一体となった迫力ある舞台を堪能しました。
■太夫 豊竹 希太夫(とよたけ のぞみだゆう)氏
文楽では、人形遣いは無言で人形を操作し、太夫と三味線が浄瑠璃の音楽にのせて状況描写をする。今、我々が「文楽」と呼んでいるものは、本来は人形浄瑠璃という芸能。江戸時代、竹本義太夫が竹本座を立ち上げ人気を博した。江戸末期、高津の興行主にちなみ「文楽」と呼ばれるようになった。床本には文章だけが書かれており、節とメロディは体で覚えて演奏する。ひとつの芝居を通して人形は同じ人が演じるが 語りと三味線はリレー式で交代していく。太夫は、語りひとつで様々な登場人物を表現する。本日の演目『奥州安達原』でも、登場人物の語り分けにご注目いただきたい。
■三味線 鶴澤 清丈(つるざわ せいじょう)氏
文楽において三味線は「気にして気にせず」、太夫は言葉で、三味線は音で芝居をする。三味線で、場面の天気や情景、登場人物と心の動きまでも表現する。
三味線は、太棹・中棹・細棹の3種類に大別され、義太夫三味線は、その中で最も大きい太棹である。他に比べ、音に強さがある。弦を持ち上げる駒は高く、胴は大きく、重い。バチも、弦の太さと張りに負けないよう先を広げず厚みを残した形状である。
文楽における三味線を食べ物に例えるなら、天ぷらうどんの出汁。場面の雰囲気を三味線がはじめに作り、そこに太夫や人形が登場する。うどんの出汁のように、香りや雰囲気で芝居を盛り上げる存在なのだ。