国土交通省成長戦略会議の最終報告素案について
2010.04.30update
28日に国土交通省成長戦略会議の最終報告素案が提示された。その中で、関西国際空港はバランスシートを改善し、本来の優位性を活かした国際競争力を強化する方針が示された。方針そのものに違和感はないが、その手法には疑問符が目立つ。とりわけ債務返済原資として想定されているコンセッション契約については、まだ何も法整備がなされていないうえ、現在の関空・伊丹空港の財務状況から判断して実現可能とは考えられない。重要なことは、関空の「前向きな投資の実行、競争力・収益力の強化」につながる施策であるが、その根幹がコンセッション契約では心もとない。さらに、今回示された工程表では、2~3年後の実現課題に「関空の国際競争力強化策を引き続き推進」とあるが、仁川空港や上海空港、香港空港等がわずか10年で戦略性を具備した空港に大変貌を遂げている状況下、このような具体性のない取り組みが続くことへの危惧を覚える。日本の現状では時間がないと考えるべきである。成田・羽田の施策が詳細かつ広範囲に及ぶことと対比しても、関空の施策は国家戦略が欠落した中途半端なものと言わざるを得ない。国交省成長戦略会議は5月末に最終報告案を出すとのことである。それまでに、国が積極的に関与することも含め、具体的に実行できる案を真剣に考えてもらいたい。その際のキーワードは「早期」、「実現性」、「国際競争力」である。我々は先般、早期に実現可能な施策として「関空上下分離案」を提言した。これを叩き台として、目の前の国際競争に耐える関空会社の抜本改善が可能となるような、地に足の着いた案を策定すべきである。
以上
平成22年4月30日
社団法人 関西経済同友会
代表幹事 中野 健二郎