提言・アピール等

健全な危機意識で未来への投資を
~国民一人ひとりが成長を実感するために~

2022.04.12update

一般社団法人 関西経済同友会
経済政策委員会

関西経済同友会 経済政策委員会(委員長=角元 敬治 三井住友銀行 取締役副会長)は、提言「健全な危機意識で未来への投資を~国民一人ひとりが成長を実感するために~ 」を取り纏めました。

 

1.問題意識

  • わが国経済は、30年に亘って低成長が続き、国民所得の伸びも弱い。我々の実感に基づく「国民視点」に立って考えると、多くの国民が今の生活には一定程度満足しながらも、自身そしてわが国の将来に対して漠然とした不安を抱えている。我々はいつまで「不安が募るばかりの閉塞感漂う日本社会」を続けていくのか。
  • 将来に対する不安を解消するためには、(1) 正確な情報に基づく現状理解を通じて、漠然とした不安を「健全な危機意識」に変えること、(2) わが国経済・社会のあるべき姿を共有し、企業、政府、そして国民自身が主体的に行動していくこと、の2点が重要と考える。そして、具体的に「主体的な行動」として求められるのは、産業競争力の強化・新産業の育成や、個人の能力開発・生産性向上などを実現させる「未来への投資」である。
  • この「未来への投資」を賢く活用するためには、企業・国民がわが国の置かれた状況に対する当事者意識を持つとともに、政府が「国民視点」に立った政策運営を行うことが重要であると考える。

 

2.提言

不安が募るばかりの日本社会を脱し、明るい未来を展望できるわが国を実現するためには、企業、政府、国民それぞれの主体が一体として、以下のようなそれぞれの役割を果たしていくことが肝要である。

  • 企業:持続的成長と多様な人材の活躍を実現する意識改革、具体的アクション
  • 政府:明確な方向性の打ち出しと整合的な政策の推進、正確な事実を国民に届ける情報発信
  • 国民:健全な危機意識のもと、「一人ひとりに未来を変革する力がある」という自覚を持った行動

 

提言1:成長領域を捉える、戦略的な「攻め」の事業投資を実践せよ <企業・政府>

<企業に向けて>

✓ 「攻め」の戦略投資を果断に実行する経営者の意識改革を

✓ 提供価値の再定義、顧客ニーズ・社会の変化に応じた提供手段の迅速な開発を

<政府に向けて>

✓ 民間投資の指針となる、わが国としてのビジョン・明確な方向性の打ち出しを

✓ ビジョンと整合的な政策の立案・見直しの実行と推進を

 

提言2:成長の源泉たる、資本としての「人」への投資を拡大せよ <企業・政府>

<企業に向けて>

✓ 「人」への資源配分は「短期的なコスト」ではなく「アセットへの投資」「人材獲得の手段」であり、企業の「社会的責務」であると捉える意識改革を

✓ 社員自らによる能動的なキャリア形成・スキルアップを支援する環境整備を

<政府に向けて>

✓ 「意欲ある個人」を直接支援する政策の拡大を

✓ 政府と国民の間にある情報ギャップの解消を

✓ 実態ニーズに即した教育コンテンツの整備を

✓ 企業における「学び直しの成果」に対する評価をサポートする取り組みを

 

提言3: 一人ひとりが健全な危機意識を持ち、意識を変え、行動を起こそう <国民・政府・経済界>

<国民に向けて>

✓ 健全な危機意識に基づく自己への投資や、失敗を恐れない果敢な挑戦、消費や就職での企業選好、政治への参加など、一人ひとりの行動が社会の変容に繋がる

<政府に向けて>

✓ 国民の健全な危機意識の醸成に向け、正確な事実を届ける情報発信を

<経済界に向けて>

✓ 若い世代に寄り添い、巻き込み、共に未来を創っていく気概を持ち、健全な危機意識の醸成と行動変容に向けた、情報発信・対話の機会づくりに取り組む

以上

提言・アピール等

健全な危機意識で未来への投資を~国民一人ひとりが成長を実感するために~