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提言・アピール等

切れ目のない安全保障体制の実現へ
~激化する米中覇権争いの今、東アジアの安定に向けて我が国がなすべきこと~

2021.05.17update

一般社団法人関西経済同友会
安全保障委員会

関西経済同友会 安全保障委員会(委員長=鴻池組 鴻池一季 名誉会長)は、提言「切れ目のない安全保障体制の実現へ~激化する米中覇権争いの今、東アジアの安定に向けて我が国がなすべきこと~」を取り纏めました。

1.問題意識
中国は経済的・軍事的に体力を付けるにつれて覇権的な行動が目立つようになっており、米中2大国間の摩擦は過熱の一途を辿っている。また北朝鮮も先の展開を読みにくい、厄介な存在である。こうした状況がもたらす我が国への軍事・経済・政治・外交上の安全保障の脅威に対応するにあたり、今後も基軸となるのは日米同盟である。しかしながら、同盟関係が戦後長きにわたって続いてきたなか、現行制度の一部には時代に即して見直すべきものも出てきている。将来にわたり日米同盟を深化していく上において、米国との責任と負担の在り方などについて改めて検討するべき時期にある。 
コロナ禍で世界が混迷を極める今、東アジアの安定に向けて、我が国の切れ目のない安全保障体制の実現のため、提言を行う。

2.提言
1.日米同盟強化のため、日米地位協定の見直しを                                  
① 日米地位協定において、我が国の国内法適用や十分な情報開示などを求めていくべき 
② 日米地位協定見直しは、協定の改定のみならず、運用や解釈の変更など、あらゆる方法で検討すべき 
③ 日米同盟や日米地位協定について、国民が自由に話し合える環境を整えるべき

2.同盟国やQuadをはじめ、基本的価値観を共有し、インド太平洋地域に地理的・歴史的な繋がりを有する国々との連携・緊密・拡大強化を
④ Quadにおいては、軍事・安全保障に留まらない、多角的・重層的な関係を強化すべき
⑤ 海洋大国として、「自由で開かれたアジア太平洋戦略」を一層推進すべき   

3.「経済の安全保障」の観点から、産業界の垣根を越えた協力体制の構築を                       
⑥ 国は経済安全保障に関する実態を把握し、内容を公表すべき  
⑦ 国内において業界の垣根を越えた情報連携、協力体制の構築を進めるべき    

4.官民双方によるサイバーセキュリティの強靭化を                        
⑧ 国全体のサイバーセキュリティを総括、責任の所在となる専門官庁を早期創設すべき   
⑨ 官民が協力して、民間企業のデジタル強靭化(デジタルレジリエンス)の底上げをすべき 

経済を安全保障のレンズを通して見ることの重要性は今までになく高まっている。企業は安全保障に関する関心を高め、真剣に対策を考えるべき。また、韓国との民間外交は継続が重要である。さらに、自然災害・パンデミック・軍事的緊張などの危機は突如到来する。我が国全体の危機管理能力を高めていく必要がある。

以上

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切れ目のない安全保障体制の実現へ~激化する米中覇権争いの今、東アジアの安定に向けて我が国がなすべきこと~