第54回 関西財界セミナーを開催
・過去最高の657名が参加。セミナー宣言を採択。
第54回関西財界セミナー宣言
われわれは、第54回関西財界セミナーにおいて、「『次』のために『今』なすべきこと~多様な知と行動がつくるアジアの力~」をテーマに議論を行った。これを踏まえ、以下のとおり宣言する。
1.わが国は、成長戦略と国民の痛みを伴う行財政改革を徹底し、持続的成長の実現を目指す。また、次世代志向の政策へ転換し、世代を超えた交流(オープンジェネレーション)等により、わが国の活力を生み出す。更に、投票権年齢の引き下げをきっかけに、教育等の施策を通じ、若者の積極的な政治参画につなげるべきである。われわれもこれに主体的に関与するとともに、若者の柔軟なアイデアを支援し活かす役割を担う。
2.わが国は、企業活動の基盤となる安全保障環境の安定化に努め、平和安全法制のもとで積極的・多角的な外交を強化すべきである。また、わが国・企業は、海外での事業活動や海上輸送の安全確保のため、グローバルリスクへの対応強化を図る。更に、地球的課題である環境・エネルギー問題に対してはCOP21「パリ協定」を受け、新興国への技術移転や革新的技術開発等を通じて、世界の省エネ・省CO2に貢献し、同時に各国で頻発している大規模災害に対しても防災・減災に寄与する。
3.関西は、世界の成長センターであるアジアとWin-Winの関係を構築し、アジアに対するゲートウェイとして日本および相手国の成長に貢献していく。このため、国際協力機構(JICA)等の関係機関との垣根を越えた連携を強化して、アジアとのパイプ役となる「親関西」人材を育成する。環境問題やインフラ整備等、アジアが抱える課題の解決にも、人材育成を通じて産学官が一体となって取り組む。
4.関西は、観光を成長産業とするため、「関西国際観光推進本部(仮称)」を核に、国別のマーケティングに基づく情報発信や、広域観光周遊ルート「美の伝説」の活用等、関西広域観光戦略のもとにインバウンドを拡大する。また、関西ワールドマスターズゲームズをはじめ、2019~21年の3大スポーツイベントを好機と捉え、関西国際空港等の活用を含めた取組みを実行し、観光立国・日本を力強く牽引する。MICE・IRは、負の側面への対応を含め、誘致に向けた準備を進める。
5.関西は、世界トップクラスの「健康・医療メガクラスター」を目指し、各クラスター発のイノベーションにより、新産業の創出と地域住民の健康維持増進や相互扶助に貢献する。また、住民を起点とする新たなイノベーションを促して、産学官と住民の双方向の「共創」を実現する。このため、経済界で設置されている各種委員会並びに関西健康・医療創生会議を最大限活用して、一体感をもって取り組む。
6.企業は、ビッグデータ、IoT、人工知能等最先端技術とこれまで培ってきた日本的ものづくりの強みを融合し、世界で勝ち抜く。企業間連携においては、グローバルネットワーク化の制約となる条件を明確にすることで、連携しやすい環境整備に取り組む。政府に対して法制度面を含む事業基盤整備のサポートを促しつつ、自らはイノベーション創出と生産性向上に邁進する。
上記を推進するため、政府は、地方分権の推進や中央政府機関の移転等を通じた東京一極集中の是正、国家戦略特区を活用した大胆な規制改革、TPPをテコにしたRCEP等の他の経済連携協定の締結を加速すべきである。複眼型スーパー・メガリージョンの形成に向けて、リニア中央新幹線の国家プロジェクト化・全線同時開業に向けた強力な後押しや、北陸新幹線の大阪への早期延伸、高速道路のミッシングリンクの早期解消等、交通・物流インフラの早急な整備も要望する。安全が確認された原子力発電所の早期再稼働等、現実的なエネルギーミックスの実現も強く求める。
以上