「大阪・関西万博具体化検討会・万博計画具体化検討ワーキンググループ」報告書(案)に関するパブリックコメント
関西経済同友会 大阪・関西EXPO2025委員会(委員長=笹川 淳 大林組 専務執行役員 大阪本店建築事業部長)は、2019年7月12日(金)に経済産業省より「大阪・関西万博具体化検討会・万博計画具体化検討ワーキンググループ」報告書(案)が公表されたことを受け、2019年7月12日(金)~7月21日(日)の意見募集期間に、パブリックコメントを作成、提出いたしました。
以下、パブリックコメント内容
1.報告書(案)の内容について
<SDGs達成+beyondに向けて>
① 「『+beyond』とは何か?」を巡る丁寧な議論を
「+beyond」はSDGs(目標:2030年)に続く目標として提示されているが、その内容は現段階ではまだ不明確。2025年に向け日本館「SDGs+beyond 館」を設定し、開催期間中に「SDGs達成+beyond」をテーマとした議論・宣言を実現させるためには、今から「『+beyond』とは何か?」という問いに対して議論を重ね、概念の整理をされたい。
② SDGsの目標・ターゲットごとに、パビリオンや「ウィーク」の設定を
テーマ館のみならず、SDGsの17のゴールごとにパビリオンを設定し、ゴールの達成に向けた取組みを後押しすることを提案する。パビリオン参加者は国内の民間のみならず世界からも募ることが望ましい。また、17の大項目をより細分化したテーマにつき、「ウィーク」を設定してはどうか(例:「先進国における子どもの貧困ウィーク」など)。
<「未来社会の実験場」にふさわしい会場計画>
① 規制撤廃により、万博会場でしかできない課題解決の実証実験を
「ソリューション」の陳列に留まらず、会場でしかできない実証実験を通じ、リアルタイムで課題が解決されていく万博を目指すべき。そのためには、実験に見合う規制撤廃が必要である。実証実験にはスタートアップや中堅・中小企業、海外企業など、多様なプレイヤーの参加を前提とすべきである。なお、成果が上がりそうな取組みやインパクトの大きい取組みは、万博終了後も継続されたい。
② 多様なアイデアに対応できるフレキシブルな会場計画(ハード)を
従来にないコンセプトの万博を実現するには様々なアイデアに対応することが必要である。この観点から、パビリオン建設にあたってはフレキシビリティを重視して頂きたい。作り込まれたハードにソフトを落とし込むのは困難を伴うことから、ハードありきではなく、ソフトを具現化するための場として会場を整備されたい。
③ 「未来社会の実験場」にふさわしい先駆的な交通体系・輸送計画を
これまでにない大量輸送システムや交通体系・手段(例えば、ドローンタクシーなど)の実験や導入も視野に入れ、未来社会にふさわしい輸送計画を立案すべきである。
<日本の飛躍の契機に>
① 登録申請書の作成にあたっては、「日本の飛躍」は目的ではなく、あくまで結果として捉えるべし
万博開催を通じ、人類の未来に貢献し、その結果、日本の新たな飛躍が生み出されるという因果関係であることを留意頂きたい。
② 大阪・関西のポテンシャルを磨き、万博への貢献に
大阪・関西は医療分野のみならず、食、スポーツ、観光、文化など「いのち輝く未来社会のデザイン」を支える、医療・健康・幸福に関する産業・伝統の蓄積が豊富であり、これを発展させることで人類の未来に大きく貢献できる。しかし、現状はそれらが「ポテンシャル」に留まっており、大阪・関西は、これらをSociety5.0に相応しいものに引き上げていくべく努めているところである。報告書には「インバウンド」「ライフサイエンス分野」と限定された記述がなされているが、より幅広い取組みを行うべきである。
<多様な参加者による共創プロセス>
① 多様性だけでなく、包摂性が意識された万博にすべし
世界の課題解決のためには、世界からの多様な人々の参画を歓迎し、包摂性の下で課題解決のアイデアを出し合える万博を目指すべきである。
② 共創の文化をレガシーとして根付かせる
共創プロセスを経ることで「共創」の文化が日本・関西に根付き、やがてこれがレガシーとなる。「日本には2025年を契機に共創文化が根付いた」と言われる万博を目指すべきである。
2.報告書に該当箇所は無いものの、万博の計画推進にあたり留意して頂きたい事項
① 未来社会のデザインを若者に任せるべし
未来社会のデザインは、未来社会の当事者である若者に任すことが重要。万博という「半年のトライアル」に、若者に失敗を恐れず挑戦させて頂きたい。その際、若者の前向きな取組みに対してシニアが「No」と言わない仕組み・ルールも設定するべきである。
② 人々が課題を発見・実感できる万博とし、一人ひとりの意識と行動の変容を促すべし
SDGsに象徴される世界の課題の解決には、人々の意識変容と長期的な行動の継続が必要であり、万博はそれらを促す契機となるべきである。そのためにも、会場では、来場者が人類の課題を発見・実感し、我が事として捉えられる仕掛けを工夫すべきである。一人ひとりの意識・行動の変容が、2025年以降に続くグローバルな「課題解決の波」になることを期待する。
③ 2025年に相応しい“目玉”企画を検討すべし
万博成功のためには集客も不可欠である。課題の発見・解決に加え、来場者がワクワクし、未来に希望を見出す“目玉”企画やコンテンツを検討されたい。
④ アイデア提示の機会を
万博の個々の具体的なアイデアについては、経済界からも提示する機会を設けて頂きたい。
⑤ 会場周辺整備に万全を期すべし
万博の成功には、会場だけでなく周辺整備も不可欠。夢洲におけるIR事業は、万博会場周辺のホテルや鉄道の整備に貢献するものであるため、万博開催前のIR開業に向け、あらゆる施策を講じるべきである。
一般社団法人 関西経済同友会
大阪・関西EXPO2025委員会