「国際拠点空港」に相応しい競争力(経営力)の確立を
~関空再構築は伊丹との経営統合時がラストチャンス~
今世紀に入ってからのアジアにおける航空輸送には、伸長著しいものがある。北京・上海・仁川・香港・シンガポール・バンコク等の主要空港の発着回数は年間およそ10~20万回であったものが、2010年には20~50万回へと急増している。その中にあって関西国際空港(以下「関空」)は10.7万回(2010年度)と2000年度対比で見て14%も減少し、国際競争から大きく取り残されてしまっている。わが国の成長戦略においてアジアの活力の取り込みは最重要の課題であり、ゲートウェイである空港をフル活用できていない現状は、早急に軌道修正すべきである。このような中で本年5月、「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律」(以下「統合法」)によって、関空が「我が国の国際拠点空港」と位置づけられたことは評価される。
関空はもともと2本の滑走路を有した24時間利用可能な空港として増便の余地が大きく、また営業利益率(2010年度:21.3%)だけ取ってみれば相応のキャッシュフローを生む等、ポテンシャルの大きな空港である。経営の舵取りひとつで遅れを取り戻すことも不可能ではない。この点、政府は事業運営権のコンセッション実現によって経営力を高める方針であるが、それを現実のものにするためには、応札判断に不可欠な「トラックレコード」(収益実績を示すもの)をもって、まず関空の収益力が認められなければならない。
そこで我々は、コンセッション実現のためのトラックレコードを蓄積するに際しての重要ポイントを洗い出し、以下に提言するものである。
平成24年4月の「新関西国際空港株式会社」(以下「新関空会社」)設立に向け本格的な準備作業が動きはじめた今、競争力ある国際拠点空港としての関空の再生に向け、この提言が実現されることを切望する。
平成 23 年 11 月7日
社団法人 関西経済同友会
関空競争力強化委員会 委員長 中野 健二郎