• Home
  • 提言・アピール等
  • BOPビジネスに日本企業はどう向き合うか~社会的課題の解決と将来のボリュームゾーンへのアプローチ~
提言・アピール等

BOPビジネスに日本企業はどう向き合うか
~社会的課題の解決と将来のボリュームゾーンへのアプローチ~

2013.02.28update

平成25年(2013年)2月
一般社団法人 関西経済同友会

BOP(新興・途上国市場)ビジネス委員会

近年、“BOP”と呼ばれる新興国の低所得者層を対象としたビジネスへの関心が、欧米企業を中心に高まっています。韓国・中国の企業も加わり、「残された最後の巨大市場」をめぐる争奪戦は熱を帯び始め、すでに日本企業は遅れを取っているとの指摘も聞かれます。

そうした中、本委員会では、講演会の開催、インド視察団の派遣などを通じ、BOPビジネスの実態を把握し、その可能性について探求してまいりました。特にインド視察では、現地で事業展開する経営者やBOPの農村の方々から直接話を伺い、BOPビジネスについて肌感覚で知ることができたと思います。いかなるビジネスにも共通して言えることですが、現地に足を運び、実感することが極めて大事であると改めて思い知らされました。

本提言の作成にあたっては、インド現地で知り得たことも含め、できるだけ多くの情報を提供し、企業経営者の方々にBOPビジネスへの関心を高めてもらうことを目指しました。事業検討に向けて一歩踏み出すきっかけになればと、多くの事例もご紹介しています。

昨今、日本企業の新興国市場進出においては、労働紛争や反日デモ、あるいはテロ事件といった様々なリスクが顕在化してきていますが、それに躊躇していてはビジネスチャンスを失います。もちろん、一企業だけでこれらに対処することには限界があり、現地政府との交渉を含め、日本政府の多方面からの支援が重要と考えます。

日本企業、大阪・関西の企業にとってBOPビジネスは、単に収益拡大を目指すものだけでなく、成長の源泉ともいえるグローバル人材の育成やイノベーションの創造という点でも意義深い事業でもあります。そして、貧困という社会的課題の解決、国際社会における日本のプレゼンス向上、更には日本経済全体の活性化にも寄与するものであることを踏まえ、日本政府と日本企業が密に連携し、その上で“現地”の政府や関係機関、企業、NGO団体、あるいはBOP層の農民とともに “官・民・現地 一体”となって取り組むことが重要であることを強く訴えたいと思います。

インド視察で聞いた「アラブの5A」=「あせらず、あてにせず、あなどらず、あたまに来ず、あきらめず」はアラブでビジネスをする上での心構えだそうですが、BOPを含む新興国市場に共通してあてはまることといえます。日本企業がBOPビジネスに取り組むことを通じて、多様な市場に対応しうる適応力・柔軟さを身につけ、再び活力を取り戻すきっかけにもなればと考えます。そして、企業経営者は海外に駐在する社員から「OKY(お前が来てやってみろ)」と言われることのないよう、自らのコミットを強めるとともに、現地とのコミュニケーションを密にすることも忘れてはなりません。

以上

提言・アピール等