提言・アピール等

第71回西日本経済同友会大会 共同見解

2013.10.18update

2013年10月18日
西日本経済同友会

  • 課題認識
    新興国をはじめとする各国でのエネルギー需要の増加や、地球温暖化を受けたCO2排出量削減の必要性等を背景に、エネルギー問題は今や世界レベルで最も重要な課題の一つである。こうした中、世界各国では、社会全体のエネルギー効率を高める超省エネ・スマート社会の実現に向け、様々なプレイヤーが動き出しつつある。我が国は、従来から省エネに関する様々な先端技術、製品の集積を通じて世界をリードし、また、徳島LEDバレイ構想のような地域社会での官民を挙げた取組事例も有している。現在、こうした経験・実績を活かして、日本各地で超省エネ・スマート社会の実証実験が進められている。これらの実証実験において進められている次世代の技術・ノウハウを現実のものとし、それを日本全体に波及させることを通じて、我が国は世界に冠たる省エネ・スマート社会を目指すべきである。
  • 政府・企業・地域住民が一体となり超省エネ・スマート社会の実現を
    そのためには、個々の省エネの技術力を高めることはもとより、スマート社会全体をパッケージ化し、ソフト面を含めて産業化することが必要である。もっとも、スマート社会を持続性のあるものとするためには、政府や企業の努力だけでは不十分である。地域住民を積極的に巻き込み、生活者の真のニーズを掘り起こして、「環境」、「安心・安全」、「快適・便利」といった付加価値を提供していくことが成功の鍵である。例えば、震災復興地域等における特区を活用し、政府・企業・地域住民が一体となってスマート社会を築き上げていくことも一考に値する。政府・企業・地域住民の三者が一体となった取り組みは、参加する企業・地域住民の活躍の場を更に広げることにつながり、ひいては地域社会の活性化という好循環にもつながる。
  • 「日本の良さ」の積極的な海外展開による産業力の一層の底上げを
    さらには、日本企業が有する知的財産権の海外流出を防止しつつ、世界に冠たる日本の超省エネ・スマート社会関連の技術・ノウハウを海外に積極的に展開し、我が国の産業力の一層の底上げにつなげることが必要である。海外において、文化や宗教等の違いを超えて、日本の高付加価値型の商品・サービスや生活スタイルが一定の評価を得ている。こうした「日本の良さ」を海外で積極的にアピールすることを通じ、超省エネ・スマート社会関連の新たな需要喚起につなげるべきである。例えば、日本企業が進出している地域にスマート社会を建設し、現地の人々に体験してもらうことを通じ、徐々にスマート社会の良さを浸透させていくことが考えられよう。関連産業の裾野が広く、高い経済波及効果が期待できる超省エネ・スマート社会の需要喚起の取り組みが、産業力の一層の底上げにつながり、更にそれが新たな需要を喚起する、このような好循環が生み出されることを期待したい。
  • 西日本の経済同友会としての意見発信の強化を
    最後に、西日本経済同友会大会は今回で幕を閉じる。しかし、東京一極集中の弊害が懸念され、また地方の自立が求められる中、西日本の各地経済同友会が力を合わせ発信していく必要性は何ら変わらない。新たに置かれる西日本経済同友会代表者会議において、侃侃諤諤の議論を行い、引き続き西日本の総意の発信を強化していきたい。

以上